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アラサー女3人が繰り広げる赤裸々な“本音トーク”に共感者続出!鳥飼茜『地獄のガールフレンド』

アラサー女3人が繰り広げる赤裸々な“本音トーク”に共感者続出!鳥飼茜『地獄のガールフレンド』

キャラも境遇も違うアラサー3人が織りなす
肩の力の抜けた本音トークが“気づき”を与えてくれる

「マウンティング女子」という言葉がおもしろおかしく使われるようになったせいもあるのだろうか。「女同士の友情なんてない」と決めつけたがる人(主に男性)があまりに多い気がする。
確かに女性というものは男性が社会的・経済的成功で評価されがちなのに対して、容姿や彼氏・配偶者・子供の有無など、あまりに多くの評価に晒されがちだ。しかも、たとえ仕事ができても結婚してない女性には世間の風当たりが強いように、何かひとつに長けていても何かひとつでも足りなければ、たちまち「女性失格」のレッテルを貼られてしまうことも多い。そんな不安ゆえ、女は身近な女と自分を比べ、格付けせずにいられないわけで、私たちはどうやったらそんな負のサイクルから脱出して、自由に幸せになれるの?

そのヒントとなるのが、鳥飼茜のマンガ『地獄のガールフレンド』だ。 自身のファッションブランドを運営する奈央(36)は、見た目はゆるふわ系の超モテ女だが、掃除洗濯が苦手で家はゴミ屋敷、お股も性格もゆる~い「ダメ美女」。そんな奈央が生活を立て直すため、恋愛対象にならない女性のルームメイトを募りやってきたのが、自分ひとりに「母親」の役割を押しつける夫に幻滅し、自らシングルマザーの道を選んだイラストレーターの加南(31)と、生真面目な性格で、妻子持ちの男と8年前に別れてからはセカンドバージン状態のOL悠里(28)。

第1卷より ©鳥飼 茜/祥伝社フィールコミックス

かくして一軒家に同居することになったアラサー女3人が毎回さまざまなおしゃべりを繰り広げるわけだが、この3人の場合、キャラも境遇もあまりに違うため、「女の人生比べ」をしても亀裂は生じず、「正直 若い女扱いはもう疲れたし抜けたい」「え~私はチヤホヤされたいっ」「かわいがられたいって気持ちが捨てられたら…たしかに楽そうではあるかな…女の人生」といった具合に、肩の力の抜けた本音トークが炸裂するのが楽しい。 同じ「女」でも、人生に求めるものも違えば、幸せのカタチも違う。「女子トーク」というとマウンティングか、あるいは空気を読みあって無理に褒めあったり、共感しあったり…といった側面も確かにあるだろうが、この3人を見ていると共感しあうだけが「友達」じゃないよね、と改めて気付かされる。
作者の鳥飼茜は『おんなのいえ』『先生の白い噓』といった著作を通じて、女の生きづらさ、女同士の関係性、男女の性の不平等…を描いてきた人で、本作の会話にも男性優位社会への怒りや葛藤が見え隠れする。だが、女性の敵は女性ではないように、男性でも絶対ないわけで。

第2卷より ©鳥飼 茜/祥伝社フィールコミックス

悠里に好意を示しながらも「夢叶うまでは結婚とかは絵空事つーか」とのたまうミュージシャン志望の男の話を肴に3人が交わす「不安が消えないと結婚できない男の人と 不安をなんとかしたくて結婚したい女の人って一生平行線じゃんね…」「どっちも不安でホントはそういう時こそ 相手と寄り添って生きられたらいいのにね」といったセリフには、男と女の間に横たわる、深く暗~い川を見つめながらも、それを超えたいという切実な祈りが感じられる。
「違う」ことを理由に相手を遮断するよりも、相手を尊重して、歩み寄ること。女同士でも男女間でも、心地よい関係性を築くためには、まずはそこからだ!

文 / 井口啓子

コミック『地獄のガールフレンド』

地獄のガールフレンド(1)

3卷(完結)まで発売中
鳥飼茜(著)
フィールヤング
祥伝社

友達ゼロ同士の女3人、同居開始! 「同居人募集!お友達のいない方歓迎!」 ●加南(かな)(31)他人に“お母さん”と呼ばれることにモニョるバツ1シングルマザー●悠里(ゆうり)(28)初めての男が妻ありの不倫愛だったセカンドバージンのまじめOL ●奈央(なお)(36) 女の人に関心がない超モテ股ゆる女家主  一軒家でルームシェアを始めた3人の共通点は「友だちがいない」 女たちの食卓では非モテの根源、オバサン問題、受け身の性欲、“女の人生”比べ、・・・・・・とおしゃべりが止まらない!! 世間におののく女たちに捧ぐ、デトックス同居物語!