黒川文雄のエンタメ異人伝  vol. 20

Interview

ゲームミュージックの巨匠 植松伸夫氏(下)『FF』は自分にとって“新しくない”

ゲームミュージックの巨匠 植松伸夫氏(下)『FF』は自分にとって“新しくない”

そういう意味では僕はいつも「いい」ですよ

なるほど……いや意外でした。すみません、そんなことまで聞いてしまって。アガスティアの葉(注22)をご覧になったというのを読んだことがあるんですが、ご自身の人生はどうですか? そのとおりにうまくいっているというような、お話も読んだことがあるんですけど。

注22:アガスティアという古代インドの聖者の予言が書かれた葉といわれる。古代タミル語で書かれたもので、その人の過去の出来事や未来に起こることなどが、すべて記述されているという。

植松伸夫 エンタメステーションインタビュー

植松 う~ん……もう言われたこと忘れちゃってるんですよね。

ハハハハ、そうなんですか。でも、いいことが書いてあったわけですよね。

植松 あなたの書いた歌が大ヒットするよっていうのは当たっていたかなあ。フェイ・ウォンの歌物がヒットするっていうのは、インストしか作っていなかった当時の僕によく言ったなあと思うんですけど。

それは書いてあったんですか。

植松 はい。あと車の事故があるけど、軽いからそんなに心配することないよとか。

それも当たったんですか?

植松伸夫 エンタメステーションインタビュー

植松 でも、そんなのはねえ(笑)、こすっただけですし。ただ、自分にとって車の事故って後にも先にもそれだけなんで、まあ当たってるっちゃ当たってるっていう感じですかね。ほかにもいくつか言われたんですけど覚えてないですね。

じゃあ、いい方に向かっている、いい結果に結びついたってことじゃないですかね。

植松 いいっていうのをどう解釈するかにもよるんですけどね。そういう意味では僕はいつも「いい」ですよ、ハハハハ。

毎日毎日何かやることがあるのがきっと幸せなんじゃないか、いい人生なんじゃないかと最近は思いますね

なるほど、いいですね(笑)。

植松伸夫 エンタメステーションインタビュー

植松 ダメージの入るイヤなことがあっても立ち直りが意外と早いというか。ダダをこねても起きることは起きますからね。いい方に、いい方に考えちゃうタイプなので、ズッシリ人生重くなることでも一瞬で回復しちゃうんです。だから、アガスティアの葉に言われるまでもなく、やりがいのある楽しい人生を送っているような気がします。

それは僕も植松さんを見ていると感じますよ。すごく、ご自身の気持ちのとおりに生きておられるんじゃないかなっていう。僕は遠くからしか見ていないですけど、ずっとそういう印象で植松さんを見ていました。大波に飲まれてそのままきたと言われますが、その中でご自身のやりたかったことをされて、人にも恵まれて今に至っているんだと、今日お話しさせていただいて改めて思います。

植松 そうですね。運が悪くても、意外と自分の信じることが現実になるんで。UFOが見える人には見えるってことですね。どんなときでも楽しい人生を送れると思う人は送れるんだと思うし。良い人生って多分、そういうことですよね。お金があるとか、人に認められるとか、ヒットチャートで1位になるとかいうのも、いいことのひとつかもしれないですけど、でもだったら世の中のお母さんは不幸じゃないかっていうことになっちゃいますからね。子供やダンナのために頑張って、いい人生、楽しい人生を送っているお母さんはいっぱいいるわけで。やっぱり、毎日毎日何かやることがあるのがきっと幸せなんじゃないか、いい人生なんじゃないかと最近は思いますね。だから、僕はいつも予定表いっぱいにしちゃうんですよ(笑)。

植松伸夫 エンタメステーションインタビュー

ハハハハハ。いや、素晴らしい。ホントに今日はいいお話を聞かせていただきました。素晴らしく心に残るお話でした。ありがとうございました。


植松伸夫 エンタメステーションインタビュー

撮影 / 北岡一浩 取材協力 / 仁志睦

著者プロフィール:黒川文雄【インタビュー取材】

くろかわ・ふみお
1960年、東京都生まれ。音楽ビジネス、ギャガにて映画・映像ビジネス、セガ、デジキューブ、コナミDEにてゲームソフトビジネス、デックスエンタテインメント、NHN Japan(現LINE・NHN PlayArt)にてオンラインゲームコンテンツ、そしてブシロードにてカードゲームビジネスなどエンタテインメントビジネスとコンテンツの表と裏を知りつくすメディアコンテンツ研究家。コラム執筆家。アドバイザー・顧問。黒川メディアコンテンツ研究所・所長。株式会社ジェミニエンタテインメント代表。DMMオンラインサロンにて「オンラインサロン黒川塾」を展開中。
黒川塾主宰。ゲームコンテンツ、映像コンテンツなどプロデュース作多数。

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