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音符が女の子に…? SNSで超話題! あのイラストの制作過程をイラストレーター・ふすいが大公開。「イラスト・デザインを仕事にしたいキミへ」monogatary.com主催イベントレポート

音符が女の子に…? SNSで超話題! あのイラストの制作過程をイラストレーター・ふすいが大公開。「イラスト・デザインを仕事にしたいキミへ」monogatary.com主催イベントレポート

初のコンテスト「モノコン2018」を実施中の投稿サイト「monogatary.com」による、「イラスト・デザインを“仕事”にしたい」人向けのイベント『創作最前線 vol.1 〜イラスト/デザイン編〜』が都内で開催されました。

『君の膵臓をたべたい』など数々の大ベストセラーの装丁を手掛けるブックデザイナー・松昭教さんと、『青くて痛くて脆い』の装画を手掛けた大人気イラストレーター・ふすいさん。業界トップランナーの二人をゲストに迎え、「プロフェッショナルへの軌跡」をテーマに熱いトークが展開。

ふすいさんによるイラスト制作過程の公開や、その場でイラストを描くライブ・イラスト・パフォーマンス、さらにはあの大ベストセラーの創作秘話まで。ここでしか聞けない話が満載のイベントをレポート!

右:ブックデザイナー・松昭教(bookwall) 中央:イラストレーター・ふすい

イラストレーターから転身。デザイナーとして生きていくと決めた理由とは?

今や、数々の大ベストセラーを生み出すブックデザイナーである松さん。そのキャリアのスタートは、なんとイラストレーター。デザイナーの駆け出し時代は、編集者にアポを取り、売り込むも、なかなか仕事がつづかず。そんな松さんがデザイナーとして生きていくと決めた作品について語りました。

『陽気なギャングが地球を回す』伊坂幸太郎著/祥伝社

「若いデザイナーと組みたい」という編集サイドの希望で、チャンスを与えられた松さん。著者の伊坂幸太郎さんにとっても2作目というフレッシュな組み合わせ。作品の中身とはちょっと違う「アメリカンなギャング」を提案した松さんに「若い人が言うなら」とついにOKが出たのと言います。以降、伊坂幸太郎さんはベストセラー作家への道を駆け上り、同時にブックデザイナーとしての松さんの名を知らしめた作品に。

さらに、イラストレーターからデザイナーになった理由を問われた松さんは「絵が描きたいからデザインのとこに行けばいいのかなと思って入った学校が、絵を描かせてくれてなくて。描きたい描きたいという気持ちでイラストレーターになったんだけども、イラストではなかなか食えないんですね(笑)。そうゆうことで、自分はデザインの道を選ぶことになりました」。

新人イラストレーターが、デザイナーから見つけてもらうためのコツは?

つづいては、新人のイラストレーターを積極的に発掘し、起用してきた松さんが、どんな基準でイラストレーターを選んでいるのかという話題に。

『階段途中のビッグ・ノイズ』越谷オサム著/幻冬舎文庫 装画:スカイエマ

 

「スカイエマさんなんかは、10年くらい前になると思うんですが、マンガやアニメと文芸イラストとの中間のイラストレーター。文芸作品には違うタイプなんだけど、でもライトノベルでもない。そんなイラストレーターが出だした頃で、中でもエマさんは動きのあるイラストと特徴的な色味があって。だから新しさがあって、みんなが見たことがないものだったんです」

『過ぎ去りし王国の城』宮部みゆき著/角川文庫 装画:れなれな 

「『過ぎ去りし王国の城』は、作中にものすごくデッサンの上手な人がでてくるんです。なので装画はプロに頼もうかと思ってたんですが、家で風呂に入る前にTwitterを見てたら「数時間前に黒板に書いて消してきた」というイラストが上がってて、それがものすごくよかったんです。しかも、風呂から上がったら、ものすごい数のRTがされていて。これは、みんなが今見たい絵なんだろうなというのと、こんなうまい絵を短時間で描けるという人に会ってみたいと。今までないんだけど、もう少したったら、こういう作品見たいよね。という過渡期にあるイラストレーターがいないかなと思って探しているんです」

逆にイラストレーターが、上手く見つけてもらうためのコツがあるかと聞かれると「難しいなあ~」と前置きしたうえで、「情報の発信の仕方が上手だっていうことは一つあるかもしれません。SNSとかHPを見ると、そういう人は自分の絵には他とは違う何かがあるよと自ら言っている。そして、そんな作品をどんどん発表していく。自分が他の人の絵との違いを明確に自覚していて、ここが違うというところを説明できるかどうかというところは大事だと思います」

サラリーマンを退職してまで選んだ道。イラストレーターとして生きていくと決めた理由

専門学校を卒業後、3年ほどサラリーマンをしていたというふすいさん。イラストレーターになったきっかけを問われると、「学生時代に、親や周りから、イラストレーター1本で食っていける人はほんの一握りだと、ものすごく聞かされて。それもあって、イラストレーターになりたいって気持ちはそんなになかったんです。だから普通の会社に就職して、帰宅してから夜にイラストを描いてpixivとかTwitterに投稿して。そんな時に、埼玉県で活動していた翔一というフォークディオの方からCDジャケットを描いてほしいと連絡があったんです。萌え系でもない自分のイラストにも依頼がくるんだ!って」

「作品を納品して、ライブハウスで会ったときに、ご本人たちがすごく喜んでくれて。そこで今までに味わったことのない気持ちと言いますか、なんだろうこれはと思って(笑)。自分のイラストで喜んでくれる人がいるんだなって嬉しかったんです。それで、イラストレーターになるなら、もう今しかない思って、後先考えずに会社に退職します!って」。会場からの「えー!」と驚きの声が上がる中、「もうこれはやばいと思って、来た仕事は全部引き受けました!(笑)」と当時のエピソードが明かされました。

売れる作品はどう作られる? ベストセラー『青くて痛くて脆い』装画制作エピソード

つづいて話題は、松さんが装丁を、ふすいさんがイラストを手掛けた住野よるさんの最新作『青くて痛くて脆い』の表紙の制作エピソード。

「どんなオファーがあったのか?」と聞かれたふすいさんは、「住野さんが雑誌でこれから連載しますというあらすじを見たときに、なぜか、分からないんですけど、自分のところに依頼くるだろうなと思ったんです。そしたら本当にご依頼をいただいて(笑)」と驚きのエピソードを披露。

『青くて痛くて脆い』住野よる著/KADOKAWA 装画:ふすい

「最初の打ち合わせで松さんから、無茶ぶりなオーダーをいただきまして(笑)。『葉っぱの一枚一枚の葉脈が見えるくらいの細かさで描いてください』と」一方、オーダーした松さんは、ふすいさんに依頼した理由について「書店に行くと、細かい絵のイラストが多いと思うんですけど、リアルなんだけど、スーパーリアルまで行き過ぎない、というのはどこまで追求できるかなと思っていたんです。それで、あれ、ふすいさん、できるんじゃないかな?って(笑)」と語りました。

さらに、ふすいさんとの出会いのきっかけについては、「キャラクターまでいかない、キャラクターを作れる人を探していて。それと光と影が上手な人。あと細かさですよね。『青くて~』もそれに当てはまるかもしれないですけど」

そして、話は、ブックデザイナーとしての専門的なところにも。「リアルだけど、スーパーリアルまで行き過ぎない」を求める理由については、「スーパーリアルまでいってしまうと、印刷物で表現できないところが出てくるんです。そのままだとつぶれてしまう。だから紙の場合は、“端折る”のが一番いい。あえて描かないことで奥行きを出したり、光と影を使って表現するんです」

そんな無茶ぶりな作品を松さんからオーダーされたふすいさんは、「同席していた編集さんに救いを求めようとしたら、私もいいと思います‼ とおっしゃって。もう受けざるを得ない状況でした(笑)」と振り返りました。

さっそく装画の制作に取り掛かったふすいさんは、資料をあたるものの、「ロケハンしないと描けないな」と、実際に東京大学やいろいろなところに足を運んで資料写真を400枚以上撮り、最終的に5パターンのラフを描いたと言います。

「大樹と男女二人の部分は目線が行くように徹底的に細かく書き込んで、背景は書き込みすぎないようにしました」松さんの無茶ぶりにふすいさんが見事に応え、カバーはこれ以上ない仕上がりに。

「ちなみに、葉っぱだけで1が月半くらいかかったんです……」というふすいさんの衝撃の告白に、会場からは悲鳴と歓声とももつかない声が。「僕はデータで拡大して、一枚一枚見て楽しんでます(笑)」と松さん。なんと企画から完成まで数カ月かかったという、ふすいさん渾身の『青くて痛くて脆い』のカバーイラスト、みなさんも、ぜひ手に取ってじっくりご覧になってください!

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