Interview

androp ドラマ「グッド・ドクター」の主題歌でもある「Hikari」。ミディアムバラードの新作に込めた想いと制作について訊く。

androp ドラマ「グッド・ドクター」の主題歌でもある「Hikari」。ミディアムバラードの新作に込めた想いと制作について訊く。

約3年ぶりのフルアルバム『cocoon』を引っ提げた全国ホールツアーを成功させたandropから、早くもニューシングルが届けられた。表題曲「Hikari」はドラマ「グッド・ドクター」の主題歌として制作されたミディアムバラード。ドラマティックなメロディライン、豊かなグルーヴを内包したバンドサウンド、そして、“どんな暗闇も光に変えていく”という意志を込めた歌詞。この曲を聴けば、andropがさらなる充実期に入っていることを実感することだろう。

取材・文 / 森朋之 撮影 / 持田薫

“日本版はどんなドラマになるんだろう?”とワクワクしながら制作に入りましたね(内澤)

ニューシングル「Hikari」はドラマ『グッド・ドクター』の主題歌。制作はどんなふうに始まったんですか?

内澤崇仁(V&G) 『グッド・ドクター』はもともと韓国のドラマなんです。日本版の主題歌のお話をいただいたときはまだキャスティングが決まったばかりで、脚本も出来ていなかったから、まず韓国版を観たんですが、それがすごくおもしろくて。“日本版はどんなドラマになるんだろう?”とワクワクしながら制作に入りましたね。医療ドラマなんですが、主人公がすごく真っ直ぐなキャラクターで、周りの人間の心を動かしていくんです。それは実社会でも起こり得ることだし、すごく親近感を感じて。まさに闇を光に変えていくパワーというか。

楽曲のビジョンも明確だった?

内澤 そうですね。ドラマのプロデューサーからは“登場人物の心情に寄り添う曲にしてほしい”という要望があって、そのことも意識しながら曲を作って。でも、そこから難航したんですよ。最初に4曲くらいデモを持っていったんですが、“全部いい曲だけど、いかにも泣いてくださいという感じがする”と言われ、曲を少しずつ作り直す日々が始まって。本当は『cocoon』のツアーが始まる前に完成させようと思ってたんですけど、ぜんぜん間に合わなくて、ツアー中もずっとやってました。

佐藤拓也(G) いままででいちばん時間がかかったんじゃない?

内澤 そうかも 

佐藤 ツアー中も打ち上げに出ないで歌詞を書いてましたからね、内澤くん。

内澤 ホテルの部屋で朝まで歌詞を書いて、そのままライブをやって。ツアーの最後のほうは身体がかなりきつかったですね。最初にドラマのプロデューサーと約束したんですよ。関わるからには、絶対にみなさんが納得できる曲にしたい。そのためにいくらでもやり直しますって。

佐藤 ドラマバージョンを録り終えたのは、放送の2日前ですから(笑)。いろんな人の想いが込められた楽曲だし、内澤くんが強い気持ちを注いでいたこともわかってましたからね。自分の役目はそれを濁らせることなく、曲を大切にして演奏することを心がけていました。

前田恭介(Ba) 僕は途中でデモを聴くのをやめたんですよ。完成するまでどんどん変わっていくだろうし、先入観を持たないほうがいいと思ったので。実際、レコーディング当日までどういう曲になるか見えてなかったんですけど、そのぶんフラットな状態で演奏できたし、自然とそのときのモードを反映できたんじゃないかなと。

ツアー中のバンドの雰囲気も投影できた?

前田 それをいちばん考えていたのは内澤くんだと思います。ツアーのなかで得られたものもあるだろうし、それはこの楽曲にも落とし込まれているんじゃないかなって。自分としては普段から切磋琢磨してきたものをすべて出すことに徹しました。

伊藤彬彦(Dr) スタンスは前田くんとまったく同じですね。アルバム(『cocoon』)のときもそうだったんですけど、(メンバーの)プレイヤーとしての個性を内澤くんがちゃんとわかっていて、それをアレンジのなかに入れてくれてるんですよ。だからギリギリのスケジュールでも無理なくレコーディングに臨めるし、シンプルに演奏に集中できるというか。

「Hikari」にはこれまでに学んできたいろんな手法を使っているし、インスピレーションだけではなく、作家的な感じで作った(内澤)

ドラマのなかで「Hikari」が流れたときは安心しました?

伊藤 “いい曲だな”と思いましたね(笑)。タイアップの楽曲はいい意味で内澤くんに任せているところもあるので、ちょっと客観視してるんですよね。“ドラマにもぴったり。やるじゃん”みたいな(笑)。

内澤 (笑)。どういう作り方であっても、最後は絶対にandropの曲として成立することもわかってますからね、これまでの経験で。「Hikari」にはこれまでに学んできたいろんな手法を使っているし、インスピレーションだけではなく、作家的な感じで作ったところもあるんですけど、“この3人(佐藤、前田、伊藤)がいればandropの曲になる”という信頼があるので。とはいえ、大変でしたけど(笑)」

こういう普遍的なパワーのある楽曲を作れたことは、自信になったのでは?

内澤 そうですね。“光に変えてゆくよ”って歌ってますけど、自分に向けてるところもあるので。

今回のシングルもそうですけど、ツアーの後もいろいろな経験を重ねて、少しずつ変化してるので(前田)

シングルにはアルバム『cocoon』を引っ提げたホールツアーの最終公演(6月3日にパシフィコ横浜で開催された「one-man live tour 2018“cocoon”tour final」)の音源も収録されています。

内澤 5年ぶりのホールツアーの集大成のライブだったので、純粋にたくさんの人に聴いてもらいたいという気持ちがあったんですよね。「Hanabi」という曲は夏に聴いてほしかったから、通常盤、初回盤の両方に収録して。あとは初回盤に「Catch Me」、通常盤に「Sorry」の音源を入れてます。

佐藤 どのライブも緊張感を持って臨んでいますけど、内澤くんが言った通り、集大成の日でしたからね。音源として残せるのはありがたいなと。

前田 まだ2カ月ちょっとした経ってないんですけど、ライブ音源を聴くと“下手だな”って思っちゃうんですよ。今回のシングルもそうですけど、ツアーの後もいろいろな経験を重ねて、少しずつ変化してるので。もちろん、ライブのときは一生懸命やっていたし、そのときにやれることはやってるんですけどね。個人的なことを言えば、『cocoon』のツアーではいろんな楽器(ウッドベース、ユーフォニアム)を演奏したんですが、しばらくはベースに専念しようかなと(笑)。もっと練習してからじゃないとダメだと思ったので。

“ステージでは何を考えて演奏するべきか”とか”自分のどこを伸ばしていけばいいか”というのは何となく見えてきたフシがあって(伊藤)

反省点が多いですね(笑)。伊藤さんはどうですか?

伊藤 僕もツアー中はいろんな悩みを抱えていたし、公演ごとにスタッフともいろいろな話をして。いつもそうなんですけど、ツアーに対して楽しい思い出って残らないんですよ。自分自身の課題点は見つかるけど、手応えはないというか。特に『cocoon』のツアーは久々のホールだったから、考えなくちゃいけないことも多くて。ただ“ステージでは何を考えて演奏するべきか”とか”自分のどこを伸ばしていけばいいか”というのは何となく見えてきたフシがあって。それは良かったなと思いますけどね。

ストイックですね、やっぱり。

内澤 確かに“楽しいぜ!”だけではやってないですね。

前田 “楽しいぜ!”でライブをやって、良かった試しがないですから。観てくれる人はどう感じるかわからないけど、“楽しいぜ!”でやったライブはアラが見えちゃうんですよ。

伊藤 気になるのは音のことですからね。お客さんに楽しんでもらうために演出もするし、MCを楽しみにしている人もいると思いますけど、僕らはどうしても演奏にフォーカスしているし、どうしても音のことが気になるので。

内澤 もちろん不愉快な気持ちでやってるわけではなくて、ストイックすぎるくらいがちょうどいいんだと思います。お客さんがうれしそうな顔をしていたり、大きな拍手をもらうと“報われた”という気持ちになるし。

今回はライブハウスならではのステージを見せたいですね(佐藤)

9月から11月にかけて行われるライブハウスツアーも、同じスタンスで臨むわけですね。

佐藤 そうですね。ライブハウスでもホールでもしっかり表現できるバンドでありたいとうのは、ずっと考えていることで。今回はライブハウスならではのステージを見せたいですね。大阪のBIGCAT、名古屋のCLUB QUATTROなど、2011年の初めてのツアーで回ったところに行けるのも楽しみです。

この後の音楽的なビジョンも見えてきてますか?

内澤 どうなんだろう? 『cocoon』のツアーはアルバムの楽曲に向き合って、かみ砕く感じだったんですけど、それを経て、「Hikari」という楽曲をリリースして、ライブハウスツアーがあって。…その後はまだわからないですね。

前田 まあ、ライブハウスツアーのなかで少しずつ見えてくるんじゃないですか。

佐藤 2018年12月でデビューから丸9年経って、2019年は10周年イヤーとして活動しようと思っていて。そこに向けていろいろと動いていくことになると思いますね。

その他のandropの作品はこちらへ

ライブ情報

one-man live tour 2018 “angstrom 0.9 pm”

9月4日(火) 千葉 千葉LOOK
9月7日(金) 宮城 Sendai Rensa
9月8日(土) 福島 郡山CLUB#9
9月14日(金) 埼玉 HEAVEN’S ROCK さいたま新都心VJ-3
9月21日(金) 大阪 BIGCAT
9月22日(土) 大阪 BIGCAT
10月5日(金) 群馬 高崎club FLEEZ
10月6日(土) 新潟 NEXS NIIGATA
10月8日(月) 山梨 甲府 CONVICTION
10月14日(日) 東京 LIQUIDROOM
10月17日(水) 愛知 NAGOYA CLUB QUATTRO
10月18日(木) 愛知 NAGOYA CLUB QUATTRO
10月21日(日) 神奈川 F.A.D YOKOHAMA
10月30日(火) 福岡 DRUM Be-1
10月31日(水) 福岡 DRUM Be-1
11月10日(土) 栃木 HEAVEN’S ROCK 宇都宮VJ-2
11月15日(木) 東京 代官山UNIT
11月16日(金) 東京 代官山UNIT

androp

2009年12月に1stアルバム『anew』でデビュー。
数々の映画やドラマ主題歌、CMソングを手掛けるなど楽曲の注目度は高く、ミュージック・ビデオも国内外11のアワードで受賞するなど、その映像世界やアートワークでも世界的な評価を得ている。また、映像・音響・照明が三位一体となったスペクタクルなステージ・パフォーマンスも大きな注目を集めている。
内澤は楽曲提供も多く、柴咲コウ、Aimer、miwa、上白石萌音などへの数々の作品が高い評価を得ている。
3月7日にフルアルバム『cocoon』をリリースし、全国5都市開催のホールツアー、one-man tour 2018 “cocoon” を開催。8月29日には、フジテレビ系 木曜劇場「グッド・ドクター」主題歌「Hikari」をリリース、9月より全国ツアー「one-man live tour 2018 “angstrom 0.9 pm”」がスタートする。

オフィシャルサイト
http://www.androp.jp

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