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「東京アニメアワードフェスティバル2016」授賞式レポート

「東京アニメアワードフェスティバル2016」授賞式レポート

その一年間に制作されたアニメ作品、活躍したアニメ関係者を表彰する取り組みとして2002年にスタートした東京アニメアワード。当初は「東京国際アニメフェア」の一環として行なわれていましたが、2014年からは「東京アニメアワードフェスティバル」というかたちで独立し、より大きなイベントとして発展・拡大しています(主催:TAAF実行委員会・一般社団法人日本動画協会)。

そして、去る3月18?21日には、通算15年目となる「東京アニメアワードフェスティバル 2016」が開催。「TOHOシネマズ日本橋」の大スクリーンをいくつも使って、世界各国のクリエイターが作りあげた独創的なアニメ作品や、昨年話題となった注目アニメをたっぷり上映。老若男女国籍問わず全ての人が楽しめるアニメの祭典として大いに盛り上がりました。

今回はその最終日に行なわれたアワード授賞式の様子をお届け。
誰が、どんな作品が、この名誉あるアワードを受賞したのかをレポートします!

長らくアニメ業界を支えてきた功労者から、アニメの未来を切り拓いていく若き才能まで、東京アニメアワード2016受賞者がずらり集合

長らくアニメ業界を支えてきた功労者から、アニメの未来を切り拓いていく若き才能まで、東京アニメアワード2016受賞者がずらり集合

偉大なる先人たちを称える「アニメ功労部門」

“アニメーション産業・文化の発展に大きく寄与した方を顕彰する”「アニメ功労部門」。これまで総勢138名の偉大な「アニメ人」が選ばれ、その功績を称えてきました。

今年、選ばれたのは、漫画家・水木しげるさんら10名。どなたもアニメ業界に多大な貢献をされた、顕彰に相応しい人ばかりでした。残念ながら、水木しげるさんを始め、一部の方々はすでにお亡くなりになってしまっているのですが、もちろんその功績が色あせることはありません。会場に鳴り響いたおおく万雷の拍手は天国の皆さんにきちんと届いていることでしょう。

故・水木しげるさんの代わりにその遺影と共に壇上に立った「ゲゲゲの女房」こと、妻・布枝さんと長女の尚子さん

故・水木しげるさんの代わりにその遺影と共に壇上に立った「ゲゲゲの女房」こと、妻・布枝さんと長女の尚子さん

【アニメ功労部門受賞者(50音順)】

 ・キャラクターデザイナー・監督:芦田豊雄さん(故人)
 ・音響監督:浦上靖夫さん(故人)
 ・声優:太田淑子さん
 ・プロデューサー:島村達雄さん
 ・アニメーター:鈴木伸一さん
 ・美術構成:橋本潔さん
 ・キャラクターデザイナー・アニメーター:ひこねのりおさん
 ・歌手:水木一郎さん
 ・原作者:水木しげるさん(故人)
 ・脚本家:吉田喜昭さん(故人)

受賞者の1人である故・芦田豊雄さん(『魔法のプリンセス ミンキーモモ』『銀河漂流バイファム』などのキャラクターデザインを担当)の代わりに壇上に立ったアニメーター・神志那弘志さん(芦田さんの立ち上げたスタジオ・ライブの現・社長)は、その受賞を受けて「(芦田さんがキャラクターデザイナーとして)多くのすばらしい作品に携わってきたその一方で、“芦田チルドレン”と呼ばれる多くのクリエイターを輩出した人間でもある」とその実績を紹介。そんな芦田さんのためにも「欲しい賞だった」と感慨深げに語ってくれました。

また、アニソン歌手として世界的に有名な水木一郎さんは「45年間もアニソンを歌い続けてこられたのは、アニメに携わってくださってきた皆さん、ファンの皆さんのおかげ」とし、今や水木さんのトレードマークとなっている赤いマフラーや「ゼェェェェェェッット!!」というかけ声が、その素晴らしさ、面白さをより多くの人に分かりやすく、キャッチーに伝えるための工夫だったと告白。「本当は真面目な男でございます(笑)」とおどけつつ、最後には深々と頭を下げていました。

「楽しいことも苦しいこともありました。でもこれで苦しいことを忘れることができる。また明日からがんばれます」と語る水木一郎さん

「楽しいことも苦しいこともありました。でもこれで苦しいことを忘れることができる。また明日からがんばれます」と語る水木一郎さん

功労賞顕彰の最後、堀越徹選考委員長はこの賞について「功労賞はお疲れさまという意味ではなく、これからもがんばってくださいという意味。今後も業界を導いてほしい。機関車となって引っ張っていってほしい」と熱弁。本当にそうですね!

2015年を象徴する作品はどれ? 「アニメ オブ ザ イヤー部門」

この1年間(2014年11月1日?2015年10月31日)に日本国内で上映・放送された全商業アニメ作品を対象に、総勢100名の専門家が投票を行ない選出した「アニメ オブ ザ イヤー部門」。その栄えあるグランプリに選ばれたのは、アイドルアニメの金字塔『ラブライブ!The School Idol Movie』(劇場公開部門)と、アニメ制作現場の苦労と喜びを描く『SHIROBAKO』(テレビ部門)の2作品でした。

μ'sファイナルライブを10日後に控え、スタッフ・キャスト陣を代表して新田恵海さんが表彰状とトロフィーを受け取ります

μ’sファイナルライブを10日後に控え、スタッフ・キャスト陣を代表して新田恵海さんが表彰状とトロフィーを受け取ります

アニメ業界をアニメで描くという画期的な試みが評価された『SHIROBAKO』。まさにアニメ オブ ザ イヤー』に相応しい作品と言えるでしょう

アニメ業界をアニメで描くという画期的な試みが評価された『SHIROBAKO』。まさにアニメ オブ ザ イヤー』に相応しい作品と言えるでしょう

『ラブライブ!The School Idol Movie』は主人公・高坂穂乃果役を演じた声優・新田恵海さんが、『SHIROBAKO』はアニメーション制作を担当したP.A.WORKSの堀川憲司社長が代表として登壇。「ラブライブ!は“みんなで叶える物語”という大きなテーマのもと、ファンの皆さん、スタッフの皆さんと一緒に作りあげてきた作品」(新田さん)、「この作品を観た若い世代が日本のもの作りの世界に飛び込んでみようと考えるきっかけになればうれしい」(藤田さん)と、それぞれ作品に込めた想いを語ってくれました。

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共に、2015年のアニメ界を大きく盛り上げてくれたこの2作品。その盛り上がりも、作品に込められたメッセージそのものもグランプリに相応しい珠玉の名作ですよね!

ほか、同部門では視聴者投票に基づく「アニメファン賞」も設置。こちらは多くの作品の中から3万票以上を獲得した『銀魂』(第3期『銀魂゜』)が獲得しています。ちなみに、作品賞とは別に設置された「個人賞」では、監督賞、脚本・オリジナル原作賞を『おそ松さん』の藤田洋一監督、松原秀さんが受賞しているのですが(ちなみにキャラクターデザイン・メカデザイン賞の浅野直之さんも『おそ松さん』から!)、このお二人は『銀魂』でもタッグを組むゴールデンコンビ。2015年(そして今年)を象徴する作品を2つも手がけているなんて本当にすごい!!

受賞時の挨拶では「いろいろ窮屈な世の中だけど、これからも伊達と酔狂だけでフィルムを作っていきたい」(藤田監督)とおっしゃっていたのが、まさに『銀魂』イズム。とても印象的でした。

【アニメ オブ ザ イヤー部門 受賞作品・受賞者】
 グランプリ
  劇場公開部門:ラブライブ!The School Idol Movie
  テレビ部門:SHIROBAKO

 アニメファン賞:銀魂

 個人賞
  監督賞:藤田陽一さん(『おそ松さん』『銀魂』など)
  脚本・オリジナル原作賞:松原秀さん(『おそ松さん』『銀魂』など)
  アニメーター賞:久保田誓さん(『ワンパンマン』など)
  キャラクターデザイン・メカデザイン賞:浅野直之さん(『おそ松さん』など)

世界中から傑作がぞくぞく集結! 「コンペティション部門」

4日間に渡って行なわれたアニメアワード2016の“締め”は、世界中から応募された短編・長編作品から優秀作品を選出する「コンペティション部門」。その応募総数は短編作品522作品、長編作品24作品! 「オリジナル性」「革新性」「大衆性」そして「技術力」を4本の柱に、フェスティバルディレクター竹内孝次さん曰く「フェスティバルとは人が楽しむための場所。したがって、そこで選ばれる作品は人が喜ぶものでなければならない」と定義。革新性や技術力だけでなく、人の心を動かす楽しさがなければならないと説明しました。

それを踏まえてグランプリに選ばれたのが、短編部門『Off Belay』と、長編部門『TOUT EN HAUT DU MONDE』の2作品。特に激戦となった短編部門を見事勝ちぬいた『Off Belay』は、まさにその「人の心を動かす」点が高評価となったそうです。残念ながら『Off Belay』を生み出したMatai? Sini?aさんは今回、来日できなかったのですが、『TOUT EN HAUT DU MONDE』は制作チームの主要メンバーが会場に集結。代表してトロフィーを受け取ったプロデューサーのDYENS RONさんは「日本のアニメは私達にとって重要な教材。作品のあちこちにそこから学んだものが込められていることに気がついていただけるはず。そんな日本の賞を受賞できたことは本当にうれしい」とコメントしてくださいました。

長編部門グランプリ『TOUT EN HAUT DU MONDE』は、女性探検家の生涯を描いた力強い作品として文句なしの大賞を受賞

長編部門グランプリ『TOUT EN HAUT DU MONDE』は、女性探検家の生涯を描いた力強い作品として文句なしの大賞を受賞

プロデューサーのDYENS RONさん。この作品に関わった多くのスタッフへの謝辞を述べ、グランプリ受賞を喜びました

プロデューサーのDYENS RONさん。この作品に関わった多くのスタッフへの謝辞を述べ、グランプリ受賞を喜びました

【コンペディション部門 受賞作品 】
 ■長編部門
  グランプリ
  『TOUT EN HAUT DU MONDE』(フランス・デンマーク)

  優秀賞
  『西遊記 ヒーロー・イズ・バック』(中国)

 ■短編部門
  グランプリ
  『Off Belay』(クロアチア・デンマーク)

  優秀賞
  『Fisherwoman and Tuk Tuk』(インド)
  『息ができない』(日本)

  SEIKO賞
  『The Orchestra』(オーストラリア)

日本ではなかなか観ることのできない貴重な海外アーティスト作品を劇場の大画面で楽しめるのも東京アニメアワードの醍醐味。皆さんも来年はぜひ会場に足を運んで、この世界的アニメイベントの興奮を味わってみてください!