Review

『オクトパストラベラー』バトルシステムと戦略性にみる王道RPGの魅力

『オクトパストラベラー』バトルシステムと戦略性にみる王道RPGの魅力

ノスタルジー溢れるクラシックなRPGを最新の技術で作るという挑戦的な試みから生まれた『オクトパストラベラー』。スーパーファミコン後期の名作を思い起こさせるクラシックなビジュアルで発売まえから大きく話題を集めた作品だ。しかし、本作の魅力は懐かしさだけには留まらない。本稿では、『オクトパストラベラー』がいかにしてクラシック性と先進性を両立させているのか、システム面から迫っていく。かつてRPGを好きだった人も、現在進行形でRPGを愛している人も、本作の“RPGらしさ”には魅了されてしまうはずだ。

文 / 村田征二朗


美しい懐かしさ、でもそれだけではない

とある取引によって大陸に散らばった秘宝を探し出す旅に出た盗賊、貴族から身を落としながらも父親の仇を追う踊子、一人前になるために世界を巡る商人……。中世ファンタジーテイストの世界を舞台に、異なる目的を持った旅人たちの物語を楽しむことができるRPG、それが『オクトパストラベラー』です。

超リアルなグラフィックで圧倒的な存在感を誇る作品がつぎつぎにリリースされるこの時代に、敢えてドット絵時代の空気感を満載にして作り出された本作。実写と見間違えるほどのグラフィックが放つリアリティも魅力ですが、ドット絵にはキャラクターや景色を詳細に描き切らないからこそ生まれる想像の余地があります。そのドット絵そのものの魅力、そしてドット絵時代のRPGが持っていた温かみのある世界を存分に味わえる。本作の魅力はそこにあります。

▲“HD-2D”と銘打たれた、ドット絵と3DCGのエフェクトを組み合わせたビジュアルだけでも、ノスタルジーと最新技術が交わった名作の空気を感じさせます

広大な世界の行く先々でくり広げられるさまざまな物語、洞窟や砂漠、森林などのダンジョン探索、強力な装備品を発見する喜び、得られる経験値や与えるダメージの数字が大きくなっていくことで感じられる成長。RPGの“らしさ”が詰まった本作は、最新の作品でありながら、遊び慣れたゲームを再びプレイしているかのような安心感をもたらしてくれます。

▲詳しくは次回の記事で触れていきますが、最近では多くなりがちなパロディやメタネタのない硬派な、それでいてくすりと笑える場面が用意された物語も、本作が持つクラシックなRPGらしさのひとつです

とにかく懐かしさが胸を躍らせてくれる本作ですが、もちろんただ懐かしいだけでは終わらず、本作独自のシステムがプレイに新鮮味を与えてくれます。そのひとつは、RPGの醍醐味である町の探索にあります。ゲームをスタートすると、まずは8人の旅人たちからひとりを自由に選択し、そのキャラクターを主人公としてゲームを進めていくことになります。

▲盗賊や神官、商人に学者など、主人公となる8人の旅人たちは職業も違えば旅の目的や特技もバラバラです。アニメチックではなく、かといって写実的すぎないキャラクターデザインも古き良きファンタジーの雰囲気を生み出しています

▲主人公に選択しなかったキャラクターたちはゲームを進めることで仲間に加えることができます

各キャラクターは、それぞれ異なった“フィールドコマンド”を持っており、テリオンであれば町人の持っているアイテムを盗め、オルベリクは相手に試合を申し込むことができ、プリムロゼなら相手を誘惑して連れ歩き戦闘に参加させることができるなど、キャラクターごとのアクションを取れるのです。

▲テリオンは“盗む”でアイテムを入手してパーティーの強化や所持金稼ぎに利用したり、アーフェンは話を“聞き出す”ことで宿屋の割引情報を聞き出したりと、フィールドコマンドではいろいろとお得な効果を得られます

話しかけることのできる町人のほとんどにアクションを行うことができるので、新しい町や村に着いて情報集めがてらフィールドコマンドを試していくだけでも、細かい発見を楽しめます。キャラクターごとに異なるアプローチを行えるため、新しい仲間を得たあとに各地でフィールドコマンドを試すのも楽しみのひとつです。また、一部のフィールドコマンドはキャラクターのレベルによって成功確率が変化するので、過去に訪れた町に再び立ち寄ると「あのとき盗めなかったアイテムが盗めるようになっている!」といった喜びがあったりします。

▲高価なアイテムや強力な装備品、あるいは貴重な情報の入手は成功率が低くなっています。フィールドコマンドに一定回数失敗すると町人との関係性が悪化し、その町ではフィールドコマンドが行えないというペナルティが発生します

▲町にある酒場でお金を払えば再びアクションが可能になりますが、資金繰りがなかなか大変な本作ではこれがけっこうな痛手となります。リスクを負ってオイシイ情報や強力なアイテムを手に入れるか、危ない橋は渡らずに進むか、プレイヤーの性格が出るところです

1 2 >