水野良氏による同名小説を原作にしたシミュレーションゲーム『グランクレスト戦記』。充実の戦略を楽しめるシステムと魅力あるキャラクターたちが織りなす深い物語が、多くのゲームファンを魅了している。前回の記事では、王道の戦記ファンタジー世界で綴られる物語の魅力や基本的なゲームシステムの紹介を行ったが、今回は緻密な思考にハマれる戦闘、支配地で充実を目指す内政について解説する。戦闘面では、ユニットが持つJobの役割やクラスとスタイルの概念、そしてコンボと呼ばれる連携の流れを説明。仲間と協力して繰り出す強力な攻撃は、敵に決まると大きなダメージを与えるだけでなく、小気味よい達成感も得られる。また、領地を統治し、軍備を整える内政パートの仕組みと目的も紹介。統治による支配地の育成は戦闘に大きな影響を与えるので、本作では非常に重要なウェイトを占めている。そして、クリア後こそ本番といえる仕様の構造をお伝えする。
文 / ドロシー伊藤
ユニット全員で駆使する連携の快感
本作の戦闘は、リアルタイムで進行するアクションバトル。3DCGで描かれた広大なフィールドを舞台に、部隊間で繰り広げられる大規模な戦闘は非常に圧巻で、戦乱の世の“国同士の戦い”を強く感じさせてくれる。また、混沌災害の沈静化を目的としたモンスターとの戦闘では、1体の超強力な大型モンスターを仲間と協力して倒すといった楽しみかたができる。
戦闘は、出撃メンバーと陣形の選択からスタート。出撃メンバーは好きなユニットを選んでも問題ないのだが、ユニットが持つJobの相性を考えて編成すると戦いが有利になる。Jobは、前衛職の攻撃役、防衛役、崩し役と、後衛職の爆撃役、妨害役、回復役、支援役、射撃役の8種類。そのうち、前衛職が三すくみの関係になっているので、敵が苦手とするJobをぶつけることで大きなダメージを与えることができる。戦闘中は、一時停止機能もある“戦術視”モードで操作ユニットを切り替えたり、進撃ルートや戦う相手の指示を行える。状況に応じた戦略性の高い戦いの思考を積み重ねていくと次第にハマっていくぞ。

▲攻撃役は防衛役に、防衛役は崩し役に、そして崩し役は攻撃役に強い。逆の関係は相手に対し弱くなるので注意が必要。編成画面から、プレイヤーの戦いは始まっている

▲メインキャラクターのシルーカは、高威力の魔法で攻撃を行う爆撃役。プリシラは、傷ついた仲間を癒やしてくれる回復役として活躍する。原作に登場するキャラクターだけでも、エンディングまでの戦いは十分に進められる。このバランスは、原作ファンとそうでない人、どちらでも満足の域に導いてくれる
ユニットは、Jobのほかにクラスとスタイルを持つ。クラスは原作に準ずる形でロード、アーティスト、メイジの3種が用意されており、装備できる武器種に影響するスタイルとの組み合わせによってJobが決定される。クラスがロードでスタイルがパラディンだと防衛役になるが、クラスがロードでもスタイルがセイバーだと攻撃役になる。また、Jobとクラスは同じでもスタイルが異なる組み合わせがあり、これらは習得できるスキルの傾向が変わってくる。下記で説明するコンボは、各ユニットが持つスキルをどのような順番で繰り出すかが重要になる。多くのユニットを育て、どんな組み合わせも可能にしておきたいところだが、1回目のプレイではターン数の関係もあり、経験値獲得に費やせる時間は有限。新規ユニットが登場するたびに、「育成するべきかとどまるか……」と悩むことになる。このもやもや感が、プレイへの向き合いかたを密にしてくれる。

▲筆者は、美人の女性キャラクターが仲間になると、能力に関係なくついつい育てたくなる。結果、アーヴィンなどの主要男性キャラクターの育成が滞ってしまい、戦闘が厳しくなることも
戦闘中に特定のスキルを命中させると、体勢を崩すWeak状態になる。このときに打ち上げ系のスキルをヒットさせると、空中に飛ばしたAerial状態になり、さらに地面に落ちたあとはDown状態になる。攻撃役や爆撃役などは、Down状態時に高いダメージを与えるスキルを持つため、強敵にはWeak状態からDown状態のコンボを発生させ、さらにDown状態に特効を持つスキルを叩きこむことが重要。Aerial状態にも特効を持つスキルがあるので、仲間との連携を駆使すると通常攻撃だけの戦闘とは桁違いの驚くような与ダメージが実現する。これがスカッとする快感を与えてくれるのだ。

▲仲間との連携はタイミングが重要。詠唱に時間がかかる爆撃役の攻撃は、先行して指示を出す必要がある。一度編み出したコンボの流れは、さまざまな強敵と戦う際に必ず役に立つはず。自分ならではのオリジナルコンボを編み出すのは楽しいぞ
育成にハマれる内政
プレイヤーの支配地では、軍事、生産、政治に分類された内政のコマンドが実行できる。軍事では、ユニットが雇用している兵士のレベルを上昇させる“軍勢の練兵”のほか、敵勢力から攻め込まれた際に戦闘を有利に運べる“拠点防御の強化”と“軍事施設の建設”が可能。プレイ序盤から雇用できる盾兵などの兵士は、雇用コストが低い代わりに能力が控え目だが、レベルを上げることでコストを抑えたまま十分に活躍してくれるのでうれしい。育成の妙は、こういうところにある。

▲1ターンで行えるコマンドは、軍事、生産、政治ともにひとつだけ。支配地によって何を重視して統治を行うかが、攻略を進めるうえでのキーになりそうだ
生産では、物資の木材、鉱石、食料、交易品の生産量を上昇させる“領地開拓を推進”、各物資や税収として獲得できる資金の入手量をアップさせる“経済施設の建設と誘致”、 物資の生産性を上げたり兵士の雇用コストを下げられる“技術機関の整備”が行える。兵士の雇用や内政コマンドの実行には、資金と物資が必要になるので、非常に大切なのだ。

▲資金と資源は、内政コマンドの実施や兵士の雇用に必要。内地にあり敵の侵攻に怯えなくていい支配地は、生産特化の内政で進めると効率よく資源や資金が獲得できる
政治は、軍事力や経済状況に影響する“執政方針の決定”、治安活動や外交によって領民の生活を向上させ民意の上昇などを促す“領内整備に力を注ぐ”、ときに失敗する内政コマンドの成功率を上げる“執政官の任命”が実行可能。“領内整備に力を注ぐ”では、ユニットとなる武将の募集も行える。より多くのユニットを揃えたいときに活用でき、自国の充実を高めていくのがたまらなく楽しい。

▲執政官に任命したユニットは、ターンごとにレベルアップに必要な経験値が獲得できる。合計で支配地数×3人の育成が行えるので便利だ
内政を進めることで、支配地の防衛Lvや経済Lvなどが上昇すると、ユニットで雇用する兵士の種類が増加。これら上級兵士の雇用は、ゲームクリアに必ずしも必須ではないのだが、やはり“強力なものが手に入る”と思うと、効率のいい内政を進めたくなる。後述する引き継ぎプレイでは獲得した資金を持ち越せるので、億万長者も狙ってみるのもよさそうだ。