当たり前ともいえるシンプルな歌詞をくり返すだけなのに、どうしてこんなにも迫せまってくるものがあるのか、不思議だ。
音楽を通して訴えたい思いが、とっても明瞭なことに驚いた。
その歌声にはリズムもメロディも、そしてビートも脈打っている。
無理に大きな声で張り上げたり叫んだりしなくても、小さなささやきでも叫びは叫びとして、しっかりとどく。
手元にあるのは、最初に出したミニアルバムが1枚だけ。
名前はAirlie、ふりがなは「えありー」とある。
2018.3.14 Release ということのほかは、いまのところは何もわからない。
収録曲は6曲だが、それぞれにすばらしいと思った。
ヒットする可能性を感じた曲もあった。
曲のタイトルを書いてみるが、それを読んだだけで、早くも何かが伝わってくる。
そんなシンプルな強さを秘めている。
「UTSUTSU」
1.秘密
2. フィクション
3.drama
4.恋
5.恍惚
6.つよがり
連絡先としてだろうか、メールアドレスと携帯らしい番号が記されているが、ここに書くのはためらわれる。
かわりにairlieの文章が読めるサイトを見つけたので、印象的な言葉とともに記しておく。
アイドルみたいなバンドマン
アイドルみたいなシンガーソングライター
正直どうだっていい
ただなんかやっぱり
ステージで熱いこと叫んでる歌ってるやつが打ち上げで楽屋でバーカンでラインで 結局よくわからんプライドや見栄だけの男女関係薄汚れた恋愛話とかしてると こういうやつだけは売れるなと思ってしまう
どうせならそういうこと全部曲にすればいいのに どうせならものすごくバチが当たればいいのに まずい ダメな子になりそう

きっかけは関西の若い友人に誘われて、大阪のレコードショップ「HOOK UP RECORDS」に行ったことだった。
大阪のインディーズ・シーン見守って応援しているというHOOK UP RECORDSは繁華街の梅田界隈から少しだけ外れた辺り、福島の地に2005年から店をかまえている。
関西のインディーズ系のバンドを網羅したラインナップが特徴で、音楽制作の面でもCDのプレスから流通や販売までを、しっかりサポートしているそうだ。だから多くのバンドが足を運んでいるという。
店長の吉見雅樹さんにお目にかかって話をしていたら、音楽を見出して伝えることへの強いが伝わってきた。
このホームページからアクセスできる。
かつてタワー・レコード梅田丸ビル店で名を馳せていたという吉見さんは、たとえばバンドの結成から初ライヴ、デモCD-Rを作るという段階から新しい才能に出会って、サポートしたいきいと思って独立したという。
ほんとうに音楽で何かを始めたいと思う人には、力強い味方になってくれるだろう。
なお、ホームページに出ていた以下の案内に付記されたただし書きには、吉見さんという人の誠実さが出ていると思えた。
HOOK UP RECORDS
〒553-003 大阪市福島区福島7-11-51 2F
TEL / FAX 06-6455-9099
OPEN 13:00 CLOSE 20:00
( ライブを見に行く際に、早めに閉店する場合あり )
( 夜中も居たりするので、都合の合わない方は連絡ください )
お店は意外というか、やはりというか、昭和の文化財のような懐かしい雰囲気が漂う場所にある。
吉見さんの情熱と新しい情報に触れただけでなく、別れ際に手渡されたCDを聴いて、新しい才能に出会うことができた。
そして、それから5日が過ぎて、何人もの人にairlieの歌声を聴いてもらって、そのたびに一緒に聴きながら、何ができるのかと考えている。
著者プロフィール:佐藤剛
1952年岩手県盛岡市生まれ、宮城県仙台市育ち。明治大学卒業後、音楽業界誌『ミュージック・ラボ』の編集と営業に携わる。
シンコー・ミュージックを経て、プロデューサーとして独立。数多くのアーティストの作品やコンサートをてがける。
「マイ・ラスト・ソング」では構成と演出を担当。
2015年、NPO法人ミュージックソムリエ協会会長。
著書にはノンフィクション『上を向いて歩こう』(岩波書店、小学館文庫)、『黄昏のビギンの物語』(小学館新書)、『ウェルカム!ビートルズ』(リットーミュージック)
美輪明宏と「ヨイトマケの唄」 天才たちはいかにして出会ったのか
著者:佐藤剛
出版社:文芸春秋
三島由紀夫、中村八大、寺山修司・・・・・・
時代を彩った多くの才能との邂逅、稀代の表現者となった美輪明宏の歌と音楽に迫る、傑作ノンフィクション!
「自分以外の人によって、己れの人生を克明に調べ上げ語られると、そこには又、異なる人物像が現出する。歴史に残る天才達によって彩色された果報な私の人生絵巻が、愛満載に描かれていて、今更ながら有難さが身に沁みる」――美輪明宏