Interview

teto 注目の4人組はニュー・シングルの制作を通して何を確認し、何を実感したのか?

teto 注目の4人組はニュー・シングルの制作を通して何を確認し、何を実感したのか?

結成から約2年、現体制になってからまだ1年余りだが、昨年8月リリースのミニアルバム『dystopia』と一連のライブを通して、急速に注目度が高まっている4人組だ。今回届けられるニュー・シングル「忘れた」は、新境地を感じさせるミディアム・テンポの表題曲に、対照的な2ビートで駆け抜ける2曲目、90年代に活躍したYOUNG PUNCHの曲をカバーした3曲目、弾き語りで聴かせる4曲目と、コンパクトなサイズのなかにバンドの進化と広がりを感じさせる内容に仕上がっている。
ここでは、この1年余りの間のバンドの進化を反映したような新曲の制作を振り返りながら、そこで表現されたバンドの現在地に関して、メンバー4人に語ってもらった。

取材・文 / 兼田達矢 撮影 / 高木博史

気の合う友人とバンドやろう、っていう感じで始まったバンドですね。

tetoは、小池さんが「やろうぜ」と言いだして始まったバンドということですが、その始めるときにメンバーをどういうふうに誘ったんですか。

小池 ベースとドラムは顔見知りで、人間性がいいので連絡したんですけど…。バンドをやるのに、共通で好きなバンドがあるかどうかとか音楽性とか、そういうことを認識する必要はないかなと思ってて、技術もやっていけばついてくるだろうと今のところは思ってるんです。でも、人間性は変わらないので…。人間性が良ければ…、というか人間性が合えば、音楽の聴き方とかいい/悪いの感じ方も合うだろうと思って、人間性で選びました。だから、気の合う友人とバンドやろう、っていう感じで始まったバンドですね。

気が合うと思われていたみたいですよ。

佐藤 そうですね。わたしも合うと思ってました(笑)。もちろん、音楽が好きなのも知ってましたから、いきなり「バンドをやろう」と言われても、不思議な感じはしなかったです。

山崎さんと福田さんはどういうふうに誘われたんですか。

山崎 僕は対バンみたいな形で知り合って、最初は好きなバンドの話とかして仲良くなって、その後はあまり憶えてないです(笑)。「一緒にやろう」と言われて、僕も特に何も考えずにやるようになって、という感じですね。

福田 僕は入ったのがいちばん遅いんですけど、関係はいちばん古くて、一緒にバンドをやってた時期もあったんです。それで「サポートのドラムが抜けちゃうから、入ってよ」と言われて、「いいよ」っていう。

teto 福田裕介(Ds) エンタメステーションインタビュー

福田裕介(Ds)

最初のイメージとしては、とにかく小池さんの曲をバンドの形で鳴らすというのがテーマ、みたいな感じだったんでしょうか。

小池 「こういうふうにやっていこうぜ」というような話はメンバーにしていないですけど、人間性の部分を信頼しているので、自分のイメージ通りに、かつそれを超えるようなことをしてくれるんだろうなということは組んだときから思ってました。

小池さんが作ってくる曲については、どういう印象ですか。

福田 昔一緒にやってたバンドはファスト・コアで、曲は1分くらいしかないっていう。そういう感じでいまもやってるのかなと思ってCD聴いたら、全然違ってて。本当はというか、こういうのをやりたかったんだろうなと思ったし、歳を重ねたからこういうのをやれるようになったのかなと思いました。

山崎 ちゃんと音楽を聴いてる人が作る曲だなという印象ですね。曲構成が難しいとかコード進行が凝ってるとか、そういうことは全然ないんですけど、でもちゃんとバラエティがあるっていう。歌詞にしても、いろいろちゃんと理解しようとしてやってる人だなという印象です。勢いがどうとか、そういうふうによく語られる印象があるんですけど、そういう音楽じゃないと僕は思います。

佐藤 具体的に「こうだ」とは言えないんですが、それでもバンドを始めたときから単純に、聴いて“いいな”と思うし、ベースを弾いて“いいな”と思うものを持ってきてくれるんですよね。

teto 佐藤健一郎(Ba) エンタメステーションインタビュー

佐藤健一郎(Ba)

みなさんはこういうふうに思ってるそうですが、それを聞いて小池さんはどう感じましたか。

小池 意図的じゃないかもしれないんですけど、いろんなものを自分なりに漁って、聴いたり観たり読んだりしてたんですね。それを、自分が今できることは音楽なので、音楽に落とし込んでなんとか表現できないかなと思ってやってるんですが、それをある程度わかってくれる人とやってるつもりなので、いまの話はみんな“そうだよな”という感じです。特にドラムの裕介は高校の頃からの知り合いで、“高校からずっとやり続けてきたら、この人はこういう音楽をやるんだろうな”と裕介は俺のことを思ってるんだろうと思ってたので、その通りという感じでしたね。

いろんなものを聴いたり観たり読んだりして、それを音楽に落とし込んで表現できないかと考えたということですが、音楽以外の表現に向かうことは考えなかったですか。

小池 そうですね。マンガは描けないですし、映像とか撮れないですし。なんとなくのきっかけで高校のときに音楽をかじったので、できることは音楽かなあと思って。できてるかどうか、わかんないんですけどね(笑)。他に、もっとやり方を知ってることがあれば、そっちに行ってたかもしれないですし、もっと自分に合う表現があるのかもしれないですけど、でもとりあえず今は自分の思い通りにやれてます。

teto 小池貞利(Vo、Gt) エンタメステーションインタビュー

 小池貞利(Vo、Gt)

「他の表現に向かう気持ちはなかったですか?」と聞きたくなる一方で、このバンドの音を聴くと、小池さんをはじめ、このバンドは、4人でガーンと音を出すことに意味を感じているというか、そのことを単純に楽しんでいるんだろうなというふうにも思うんですが、そのあたりはいかがですか。

小池 それは、ありますね。いちばんやりたいことは、自分が得てきたものを自分なりに出すというか、出せたら楽しいのかなと思って始めたバンドなんですけど、でもせっかくこの4人が揃ったんだから、そのことにも意味を持ってやっていきたいなと思っています。替えがきかない人の集まりというか…。そもそも対人関係って替えのきくものじゃないですよね。“この人とゴハン行きたいな”とか“この人と飲みに行きたいな”というのは、そう思う人じゃないとダメじゃないですか。それと同じ感覚でバンドをやっているので、誰か他の人でもいいようなことはやってないというか、4人で鳴らすことについては結果として替えのきくことにはなってないと思いますね。

昨年8月にミニアルバム『dystopia』をリリースしてから今回のシングル完成までの約半年間を振り返って、どんなふうに時間が流れた感じですか。

小池 曲については、シングルを出そうということで作ったわけではなくて、元々あった曲をどんどん発展させていった感じではあるんですけど、でも生活については特に何も変わってないかなあと思います。時間があるときにスタジオに入って、曲を作って、それで「今日は終わったら、ゴハン行くか」みたいな感じです。

音源をリリースすると、それについていろんな人がいろんなことを言うから、そうした感想がメンバーのみなさんにも届いたりしたんじゃないかなと思うんですが、そうした反応のなかで何か印象に残ったことはありますか。

小池 自分のところには、あまり届いたことがないかもしれないですね(笑)。

(笑)、それは、気にしてないから届かない、ということではなくて?

小池 何か言ってくれたら、聞くんですけど、あまりそういうことがないですし、僕の周りにはそういうことを言ってくる人があまりいないんですよね。

佐藤 僕も、知り合いから何か言われたということはあまりないんですけど、対バンとかしていくなかで、「アルバムのあの曲が良かった」とか、そういうふうに言ってもらえたりとか、そういうことはありました。思うのは、曲の受け取り方が様々だなあということで、それは面白いなあと思いました。

山崎 僕は、感想をもらったりすることは全然ないですし、自分から聞くようなこともしないですし…。

teto 山崎陸(Gt) エンタメステーションインタビュー

山崎陸(Gt)

福田 僕もないですけど、ライブをすると出した後はお客さんの反応が違うというか、覚えてきてくれてる人もいたりして、そういうのを見ると“ちゃんと聴いてくれてるんだな”ということを実感することはありました。

(「忘れた」は)こういう曲を歌えてこそ意味がある、と思ったんです。

今回のリリースを4曲入りのシングルという形にしたのは、どうしてですか。

小池 まず自分のなかで“シングルで出すべき曲だな”と思う曲があって、それと対比して面白い曲も同じ時期にできたので、その2曲を出そう、と。でも、僕は欲張りなので、“もっとたまらない作品にするためには?”と考えた結果、シングルだったらカバー曲を入れても面白いかなと思って、さらに弾き語りを入れたら表題曲がもっと引き立つかなと。

表題曲「忘れた」のどういうところが“シングルで出すべき曲だな”と思ったんでしょうか。

小池 こういう曲を歌えてこそ意味がある、と思ったんです。それに、バンドの今後を考えたところもあるかもしれないですね。リスナーに届かせるという意識ももちろんあるでしょうが、この4人でバンドをやっていくのに、こういう曲をシングルにすることでどういうふうに変わっていけるかという期待の気持ちもあるような気がします。

この曲を初めて聴いたときの印象を教えてください。

佐藤 初めて聴いたとき、となると…。最初に聴かせてもらったのは、出来上がりを100とすると、10か20くらいの段階のものだと思うんです。構成が全然違ってたということもありますが。そういう、原型となる曲を聴かせてもらって、バンドで作り込むなかでどんどん形になっていったという印象があるんですけど、メロディや歌詞について深く考えているうちに“これは大事な曲になる”と思った記憶があります。どうしてそう思ったのか根拠があったわけじゃないんですけど、出来上がっていくなかでそういう気持ちが強くなったという感じです。

山崎 最初に聴いたのは貞ちゃん(小池)がデモで送ってきたものなんですけど、BPMも全然違ってて、まるで違う曲と言っていいと思うんです。それは、すごく外に向いてないというか、メッセージが抽象的じゃなく、貞ちゃんひとりのなかで完結してるイメージの曲だったんですけど、そこに聴く人にとっての何か色がつけばいいなと思って、自分なりにやっていった感じですね。

福田 そのいちばん最初のデモというのを、僕は聴いてないんです。僕が入る前のことなので。僕が初めて聴いたのはミニアルバムが出るくらいの時期で、それは2段階目くらいのバージョンだと思うんです。やってみようかという話になって、みんなでスタジオに入って試してみたんですけど、うまく仕上げられなかったんですよね。それが、シングルにこの曲を入れるという話になって、それでまたやってみたら、そのときにはみんなの経験値も上がっていたので、いまの出来上がりみたいな形に落ち着いたんですよね。

うまく仕上げられなかった最初に試したときと比べると、「みんなの経験値も上がって」と言われましたが、それは曲を仕上げる上でのメンバー間の共通認識みたいなことですか。

福田 多分、最初に試したときにはまだ貞ちゃんのなかでもイメージがフワッとした部分があって、それでうまく伝えられないというところがあったと思うんですけど、シングルになるということでまた作ってきたデモはすごくはっきりしてたから、それで完成させられたということだと思います。

teto エンタメステーションインタビュー

小池さんのなかで、原型になった曲から出来上がりのバージョンに至るなかで、どういうことを思っていましたか。

小池 メンバーも同じ考えだったらうれしいな、ということは思ってました。最初のデモっていうのは、本当に別物と言っていいようなものなんですけど、去年の初めにこの4人の体制になって、その頃からライブを重ねて、ツアーに出ていろんな人に会って、いろんなことを考えたんですね。それで、原型だった曲から思いをよりいっそう深めた曲というか….思いが深まったから仕上がったというか、その深まった思いを載せるのにすごく適した曲だったということなのかなと思います。いちばん最初のデモのときには自分だけで完結してたんですけど、でも自分でこの曲を振り返ったときに、“自分だけで完結していい曲じゃないかもな”と思ったんですよね。それが、ツアーとかでいろんな人と、お客さんも含めてですけど、知り合った結果、だんだん深まってきて、今回ようやく形になったのかなという気がします。

(「忘れた」も「拝啓」も)両方とも出来るべき時期に出来た曲だなという印象ですね。

その「忘れた」との対比が面白い曲として「拝啓」が同じ時期にできて、今回のシングルの構想が進んだという話がありましたが、「忘れた」と「拝啓」の対比の面白さをもう少し解説してもらえますか。

小池 ウ~ン……、カレーうどん、みたいなことですかね。

(笑)。その説明を深めるために敢えて角度を変えて、福田さんに聞きます。「拝啓」は2ビートの曲ですが、BPMも含め、最初からああいう感じの曲だったんですか。

福田 最初から2ビートではあったんですけど、サビは2ビートじゃなかったんです。それがやっていくなかで「最後まで2ビートで行っちゃったほうがいいだろう」ということで、こうなったんです。途中でわざわざ変える必要ないだろってことで。

小池 そうだっけ?

福田 そうだよ。最初は、サビは頭打ちだったんだよ。変わったのは、そこくらいですけど。

山崎さんと佐藤さんは「拝啓」についてはどういう印象でしたか。

山崎 「忘れた」の最初は内側に向いてた印象だったのに対して、「拝啓」はまったく同じことを歌ってて外側に向いてる曲だと思うんです。この曲の組み合わせは本当に面白いと思うし、まさにカレーうどんだなと思いますね(笑)。

佐藤 そうですね。確かに、カレーうどんかもしれないですね(笑)。

小池 (笑)、もういいよ。

佐藤 (笑)、ただ、「忘れた」が出来たから「拝啓」が出来たというよりは、どちらの曲も人と出会ったなかで出来た曲だなと個人的には思ってて、テンポや曲調は極端に違うかもしれないですけど、いろんな出会いや、そのなかで思ったことについて歌っているところもあると思うので、両方とも出来るべき時期に出来た曲だなという印象ですね。

いま佐藤さんが言われた「出来るべき時期」というのは、さきほど小池さんが言われた「いろんな人と会って思いが深まって仕上がった」という話とつながっていると思いますが、その深まった思いについて説明していただけますか。

小池 ウ~ン……、難しいですねえ…。ちょっと外れた答えかもしれないですけど、やっぱり人は人を求めてる、というか…。言えるのは、それくらいでしょうか。中島みゆきさんがそういうことを言ってて、それが前はよくわからなかったんですけど、こういうことなのかなあということをいまは思いますね。

また「忘れた」の話になりますが、「一度取りかかったものの仕上げられなかった曲が、ツアーなどでいろんな人と会って思いが深まって仕上げられた」という経緯を振り返ったときに、思いが深まってどういうことが起こったから曲を仕上げることができたんだと思いますか。

小池 説得力が深まったという感覚が個人的には強いですね。だから、出来るべくして出来たっていう。そういう曲だと思います。

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ライブ情報

4月1日(日) 千葉・千葉LOOK
4月12日(木) 福岡・福岡THE Voodoo Lounge
4月14日(土) 岡山・岡山PEPPER LAND
4月15日(日) 京都・京都GROWLY
4月20日(金) 宮城・仙台LIVE HOUSE enn 3rd
4月22日(日) 埼玉・北浦和KYARA
5月11日(金) 愛知・池下CLUB UPSET
5月12日(土) 大阪・心斎橋PANGEA
5月18日(金) 東京・新代田FEVER

teto

2016年1月、ボーカルギターの小池貞利を中心に山崎陸(Gt)、佐藤健一郎(Ba)らとtetoを結成。同年10月、自主音源となる1stEP「PainPainPain」を発売。瞬く間に情報が拡散され数回にわたり再プレスをするも品薄状態が続き、現在は廃盤になっている。同年12月、福田裕介がドラマーとして正式加入し、現編成となる。2017年6月、Helsinki Lambda Clubとのスプリットシングル「split」を発売。2017年8月、1st Mini ALBUM「dystopia」を発売。8月度のタワレコメンに選出される。そのリリース・ツアー“teto tour 2017「dystoipia」”を11月から開催。全公演ともチケットは即日完売。勢いとまらず年末の「COUNTDOWN JAPAN 17/18」にも出演し、今後は「VIVA LA ROCK 2018」、「YON FES 2018」等への出演が決まっている。4月から全国9か所を廻るteto“60分2,800円ツアー”を開催。1stシングル「忘れた」のリリース・ツアーとなる。

オフィシャルサイトhttp://te-to.net