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武田梨奈が選ぶ2015年エンタメBEST3

武田梨奈が選ぶ2015年エンタメBEST3

映画『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』やドラマ『ワカコ酒』など、多数の話題作に出演して、2015年も大活躍した女優の武田梨奈さん。大の映画ファンとして知られる武田さんに、2015年に見た映画の中からベスト3を選んでいただきました!

第3位 映画『はじまりのうた』

お金がかかった大作ではないんですが、アメリカでは口コミで上映劇場が5館から1300館まで増えていったという映画です。

長くつきあっていた彼氏に浮気をされて失恋した女性が、バーで音楽プロデューサーに出会ってアルバムを作ろうともちかけられます。アルバムを作っていく中で、彼女は自分の夢中になれるものを見つけていくんです。

普通の恋愛映画だと、主人公の女性とプロデューサーが恋愛関係になりそうですが、2人はあくまで友情関係なんです。よくあるパターンをくつがえされた感じがしましたね。

歌と映画がすごくマッチしていて、歌もすごくいいんですよ。個人的にも大好きになったので、サントラも買いました。失恋の歌がほとんどなんですけど、悲しい歌なのに明るく前向きに歌っていたりして、その表と裏がある感じも絶妙でしたね。

面白いのが、主人公と仲間たちのバンドがスタジオではなく、街のいろんな場所で曲をレコーディングするというところです。あえてニューヨークのうるさいところで収録するんです。

私の一番好きなシーンなんですけど、収録中に遊んでて騒がしい子供たちが近くにいたとき、プロデューサーが近寄っていってお金を出すんですね。「これをやるからどっか行け」って言うのかと思ったら、「こっちに来てくれないか」って頼んで、子供たちの声も歌の中に入れるんです。

そうした歌と人の力で、どん底にいた主人公が少しずつ明るい未来を見つけていくお話なんです。

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『はじまりのうた』

アメリカ 監督:ジョン・カーニー 出演:キーラ・ナイトレイ、マーク・ラファロほか シンガーソングライターの女性と音楽プロデューサーの中年男性の出会いから始まるヒューマンドラマ。

第2位 映画『メイズ・ランナー』シリーズ

2位は『メイズ・ランナー』シリーズです。全3作のSFサバイバルアクションで、第1作と第2作が今年公開されました。ラストの第3作は2017年に全米公開の予定だそうです。

ストーリーは記憶を失った主人公たちが巨大な迷路に囲まれた謎の場所に送り込まれて……というものです。もともと私がそういうサバイバル要素がある作品がすごく好きというのもあるんですが、同世代の役者さんたちが出ているという点も気になって、第1作を劇場に見に行ったんです。第1作も第2作も何回も見るほどハマってしまいましたね。映画の中の登場人物と同じ体験をしてるような感覚になるほど引き込まれたというか。

作品として好きというのはもちろんあるんですけど、『メイズ・ランナー』の中に入りたいという気持ちもすごく強いんです。イチお客さんとして見ても好きな作品というだけでなく、役者として自分がこの作品に出たいという気持ちにもなりましたね。

そういう意味では、役者さんたちにもすごく魅力を感じています。特にアジア系のキー・ホン・リーさんには惹き付けられて、リーさんが出ている短編もチェックしました。その短編では『メイズ・ランナー』とは全然違ったちょっとダメ男みたいな役柄を演じていて、振り幅が広いなと感じましたね。

役者さんがいいので登場するキャラクターも魅力的で、ひとりひとりをもっと見たいなって思う映画でもあります。 とにかく、エンターテイメントとして誰でも楽しめる作品だと思います。ぜひ、この見ると息継ぎを忘れるような、自分が追いかけられて走ってるような感覚を体験していただきたいです。

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『メイズ・ランナー』シリーズ

アメリカ 監督:ウェス・ボール 出演:ディラン・オブライエン、ウィル・ポールターほか アメリカでベストセラーとなったティーン向け小説を原作としたSFディストピア映画。

第1位 映画『セーラ』

今年の3月に大阪アジアン映画祭で、コンペティションの審査員をやらせていただいたんですが、そこで見た作品の中でグランプリにしたいと思ったのが、この『セーラ』なんです。

すごく社会性のある映画で、けっして面白おかしい映画ではないですし、「すごく感動する!」という映画でもないんですけど、胸に残るものがあるんです。見終わった後には、いろんな感情が胸に残りました。久々にこういう映画に出会ったなと思いました。

主人公のセーラは家庭に恵まれていない子供時代を過ごしていて、母親の再婚相手の義理のお父さんから性的虐待を受けます。本人はすごく苦しい思いをするんですが、お母さんはそれを知ってるのに「育ててくれるし、お金も出してくれるんだから我慢して」と言うんです。セーラは家出して、また色々と大変な目に遭うんですが、ある男性と出会ってちょっとずつ人生を取り戻していきます。そして大人になって記者になるんですね。記者になったセーラは自分と同じ経験をしてるような子供たちを取材したいと考えてタイを訪れて、小さいころから売春している10代の子に出会い……というお話です。

女性が虐げられる現実を映画にしていて、すごく胸が痛くなるし、いろいろと考えさせられます。

大阪アジアン映画祭でグランプリはとれなかったんですが、私が「『セーラ』が一番印象に残りました」と強く推したら、審査委員長のパン・ホーチョン監督が「そこまで言うんだったら、別に賞を作ってもらおう」って言ってくださって、主演のシャーリーン・チョイさんがスペシャル・メンションを獲得したんですよ。強く推した作品だったので、私も嬉しかったですね。

『セーラ』は日本では大阪アジアン映画祭で上映されただけで、まだ劇場公開はしていないので、早く映画館で見られるようになってほしいという願いを込めて1位に選ばせていただきました。

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『セーラ』

香港 監督:ハーマン・ヤウ 出演:シャーリーン・チョイ、サイモン・ヤムほか 監督は『イップマン・誕生』などのハーマン・ヤウ。主演のシャーリーン・チョイは本作でアイドルから実力派女優に脱皮したと絶賛された。

武田梨奈 たけだりな

1991年6月15日生まれ、神奈川県出身。
2009年の『ハイキック・ガール!』で映画初主演。空手黒帯の実力を活かしてアクション映画で活躍する他、幅広いジャンルの作品に出演。
2016年も、1月1日放送のテレビ朝日系ドラマ『相棒』の元日スペシャルに出演、主演ドラマ『ワカコ酒』のシーズン2が1月8日よりBSジャパンでスタート、主演映画『ドクムシ』『Yangon Runway』『海すずめ』が公開と、さらなる活躍が期待されている。