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イタリア映画界の巨匠・ナンニ・モレッティ監督最新作『母よ、』

イタリア映画界の巨匠・ナンニ・モレッティ監督最新作『母よ、』

カンヌ映画祭パルム・ドール獲得『息子の部屋』に続く、家族の物語を描いた感動作

ナンニ・モレッティ監督が『ローマ法王の休日』以来、4年ぶりに手がけたのは、すべての人がいつか必ず経験する親の死を通して、家族とは、人生とは何かという普遍的なテーマ。予告編はマルゲリータ・ブイ演じる女性映画監督が母親の余命宣告に直面し、「私がお見舞いに行っても何の助けにもならない」と娘としての苦悩を描きながらも、新作映画の撮影現場では、ジョン・タトゥーロ演じるアメリカ人俳優と気丈にも大喧嘩する姿が描かれる。仕事と家庭で悩みを抱える働く等身大の女性をリアルに切り取りながらも、モレッティならではの独特のユーモアを加味し、余命僅かの母親と正面から向き合い愛する者の死を通して、生きることの素晴らしさを描き、家族の深い愛情を感じる温かい予告編となった。

映画は2015年カンヌ映画祭コンペディション部門エキュメニカル審査員を受賞したほか、イタリアのアカデミー賞と呼ばれるダヴィッド・ドナテッロ賞2015でマルゲリータ・ブイが主演女優賞を受賞するなど、ヨーロッパ各映画賞にノミネートを果たした。また、フランスの権威ある映画批評誌カイエ・デュ・シネマが2015年第1位に選ばれている。時にユーモアを交えながら、現代に生きる人々が抱える苦悩が散りばめられている本作はナンニ・モレッティ監督の自叙伝的映画となっており、観る者の心は締め付けられ、静かな感動が広がる傑作となった。

MiaMadre

© Sacher Film . Fandango . Le Pacte . ARTE France Cinéma 2015 配給:キノフィルムズ

映画『母よ、』

2016年3月12日(土)、Bunkamuraル・シネマ、新宿シネマカリテほかにて公開。

STORY
映画監督のマルゲリータは恋人ヴィットリオと別れ、娘のリヴィアも進路問題を抱えている。さらに兄と共に入院中の母親・アダの世話をしながら、新作映画の撮影に取り組んでいるが、アメリカ人俳優バリー・バギンズが撮影に参加した途端、思うように撮影が進まず、大きなストレスを抱えるように。そんな中マルゲリータは病院から母親の余命宣告を受ける。

配給:キノフィルムズ
監督:ナンニ・モレッティ 『息子の部屋』『ローマ法王の休日』
出演:マルゲリータ・ブイ 『はじまりは五つ星ホテルから』『夫婦の危機』
ジョン・タトゥーロ 『ジゴロ・イン・ニューヨーク』『ビッグ・リボウスキ』
ナンニ・モレッティ 『息子の部屋』
上映時間:107分
字幕:岡本 太郎