Interview

007 スペクター ダニエル・クレイグ インタビュー

007 スペクター ダニエル・クレイグ インタビュー
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『007』シリーズ最新作『スペクター』で4度目のジェームズ・ボンド役を演じたダニエル・クレイグ。過去3作の集大成とも言える4作目で、まさに彼だけのボンド像をみごとに完成させた。クレイグのボンドに対する意識、さらなるスケール感とドラマチックな展開を見せる『スペクター』の撮影についてクレイグに直撃した。

「ジェームズ・ボンド映画の伝統」というのがある
だから僕らは、すべてを実際に実写でやろうとするんだ

冒頭のメキシコシティでの撮影はエキストラの数もアクションシーンも圧巻でしたね。苦労はありませんでした?

驚くほど簡単だったよ。メキシコはすごく協力してくれたし、エキストラもギャラリーも興奮してくれた。それらがなかったら、あのシーンは不可能だったよ。手掛けたクルーたちは、あらゆる大作を経験してきた人たちだった。そして彼らも、僕らと同じくらい、この映画をやることによろこびを感じてくれたんだ。

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どのロケーションでの撮影が一番大変でしたか?

それを答えるのは難しいな。オーストリアで標高1万フィートのアルプス頂上にいた時は、少し歩くだけで息切れしてしまったんだ。だけど、辺りを見渡すと美しい風景が広がっているので、嫌な気持ちにはならなかった。

撮影最後の1週間いたモロッコでは強烈な砂嵐に見舞われて、鼻先から1メートルも先が見えなかった。「大変だ。これはシリアスだな」と思ったけれど、僕たちは大丈夫だったし、暑かったけれど、心地よかった。モロッコの砂漠も、とにかく美しい。というわけで、大変ではあるけれど、それ以上の収穫があったんだよ。

それに、実際に自分がやっていることを意識してみると、「僕たちはボンド映画を作っている。これはエキサイティングなことだ」と感じるもんだよ。僕らは、他の映画に勝っていなければいけない。だって「ジェームズ・ボンド映画の伝統」というのがあるんだ。だから僕らは、すべてを実際に実写でやろうとする。どうしてもできないところは、ごくまれにCGを使ったりするけどね。

今回、敵が“スペクター”と聞いて、どうお感じになりましたか?

そう決まった時、僕はその場にいたので、興奮したね。ボンド映画の中により多くの手段を許すことになり、昔の映画にあった数々の要素を用いて、物語に展開させることができるから、うれしかったよ。

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今作はボンドを描いたひとつの作品だと感じられるように、
それまでの映画と結びつけるいい機会だった

あなたが演じてきたジェームズ・ボンドが今作でどう成長したと思いますか?

その点について、つい先日サム(・メンデス監督)と話していたところだったんだ。サムが気に入った点のひとつであり、なぜサムがまた戻ってきたかったかという理由は、1作目から2作目へと物語が続いていき、サムが参加するようになってその物語をさらに継続させているということだった。

それはこれまでのボンド映画では見られなかったことだよね。これまでの作品が素晴らしくないと言っているんじゃないよ。ボンドの身に色々なことが起こって終わりを迎えると、その次にまた別の映画がくるという感じだった。

彼は同じ人物だから、以前自分が抱いたのと同じ感情を経験するべきで、そうやれば先に進んでいけると思うんだ。今作は、「ジェームズ・ボンド」を描いたひとつの作品であると感じられるようにするため、それまでの映画と結びつけるいい機会だったのだと思う。

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連作となっているあなたの『007』ですが、4作続けて同じ役を演じ続ける上でジレンマは感じられたりしませんか?

いや、とんでもない。僕はこれまでとても幸運だったと思う。というのも、サム・メンデス監督にメガホンを取ってもらうようになってからというもの、このキャラクターをさらに追求していきたいと感じるようになったからなんだ。

『スカイフォール』で我々がやったことは、ある意味、新たな出発となった。悲しいかな、ジュディ・デンチ演じるM は死んでしまったが、新しいM が登場した。それに、マネーペニー、Qも加わり、新しい要素も増えた。新しいキャラクター、新たに追求できることが出てきたので、僕は本当に今回が初めてであるかのように思えるね。そう感じ、楽しいんだ。

前作から、レイフ・ファインズとナオミ・ハリスが入り、前々作からはベン・ウィショーが入ってという風に、新しいレギュラーキャストが加わったことによって得られたことは?

僕が『カジノ・ロワイヤル』でシリーズに参加してから、Qやマネーペニーといったすべてを排除したんだ。Qの支局でQに会って、格好いいガジェットが出てくるといった場面は一切なかった。でも僕はQに出てきてほしかったんだ。そういったものを再び、導入するということは、今ならできる。これは僕にとっては野心的なことだった。というのも、これはジェームズ・ボンドの映画で、人々はそういうのに親しみを感じていると思うので、僕は観てくれる人たちを楽しませたいと思っているからね。

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でもその反面、ジェームズ・ボンドを知らない人たちもいるから、そういう昔からあるキャラクターを明らかなジョークとして入れたいとは思わなかった。マイク・マイヤーズの『オースティン・パワーズ』ではそういうパロディをとてもうまくやっていたし、とても笑えたけど。そういうのは難しいものなのにね。

サム・メンデス監督の演出には、何か変化はありましたか?

『スカイフォール』で僕たちが築いた関係はとても親密なもので、お互いを尊敬し、またお互いに対立し、追いつめることもあった(笑)。今回はどちらもとてもリラックスしており、前作の成功によるプレッシャーは大きかったが、プロセスを通してより創造性があったと思うよ。

実際には、お互いに話をするのをやめたんだ。言葉を使うのではなく、彼が「ああ?」と言うと、僕も「ああ」と言うだけ(笑)。それが僕たちのセットでのコミュニケーションの仕方だった。もはや、言葉など必要なかったんだ(笑)。

007 カジノ・ロワイヤル』の時に、ボンド役を演じることに不安と期待があるとおっしゃっていましたが、その頃と比べ、今では状況もだいぶ変わって、慣れてきたのではと思います。気持ちが変わったターニングポイントというのはどこでしたか?

昨日だったよ。うそ(笑)。正直言うと、『カジノ・ロワイヤル』の成功によって、僕はほっと胸を撫で下ろしたよ。かなりプレッシャーがあったからね。今なら、「これを今後どう持っていきたいか」と聞かれれば、「まさにここだ」と言うだろう。自分でやっていることが何であるかわかっているからね。でも時を戻すことはできないから、しょうがいない。

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僕はリラックスしていると思うけれど、自信過剰ではないし、さまざまなことが失敗してしまう可能性はまだあるわけだからね。でも、業界の最も優れた人たちと仕事をしているので、現場にやってきてサム、レア、モニカといった人たちの顔を見ると、とても自信が湧いて来るんだ。そうできることが光栄で、そのおかげで自分にも自信が持てるんだよ。

有名になったことで、私生活への影響は絶対出てしまうと思いますが、例えばパブでビールが飲めなくなったとか、そういうエピソードがあれば教えてください。

私生活でプライバシーはかなり失ってしまったね。変化したんだ。(スマホをテーブルから取り上げ)こういうものがあるということは、こうやって写真を撮ることができるわけで、写真を撮る前にちゃんと断ってくれないというのは、とても無礼だと思うんだ。僕は親切で礼儀正しくありたいと思うので、人々が親切で礼儀正しければ、一緒に写真を撮るのは全然構わないんだよ。

また食料品店でミルクを買う時も、誰かに見られているかどうかなんて、意識しないようにしているよ。でなければ、人生は悲惨なものになる。でも、『007』は僕に素晴らしい経験を与えてくれているよ。これまで行ったことのない最高の場所に僕を連れていってくれたし、最も優秀な人たちに会い、彼らと仕事をさせてもらうことができた。

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このシリーズに関わり始めた時、僕にとってはすべてが発見だった。こういうものに出たことはなかったし、今でも僕は本当に満足を感じているんだ。また、その一方で、家ではなるべく普通でいようとしている。家族は僕がジェームズ・ボンドだなんて思っていないしね(笑)。僕が自宅でジェームズ・ボンドのように振る舞ったりしたら、許してはくれないよ。でも、それは良いことだ。僕はすごく幸せだよ。

インタビュー・文/よしひろまさみち

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ダニエル・クレイグ

イギリスのリヴァプール近郊に育ち、ロンドンの演劇学校を卒業。’92映画『パワー・オブ・ワン』でデビュー。『トゥームレイダー』(’01年公開)などへの出演を経て、サム・メンデス監督による『ロード・トゥ・パーディション』(’02年公開)での演技が高く評価されてブレイクを果たした。’06年に6代目ジェームズ・ボンド役に抜擢。『カジノ・ロワイヤル』(’06年公開)、『慰めの報酬』(’08年公開)、『スカイフォール』(’12年公開)、『スペクター』(’15年)と4度にわたってボンド役を演じた。

『007 スペクター』

12月4日(金)全国ロードショー

『007 スペクター』

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オフィシャルサイト

4年ぶりに宿敵の秘密組織“スペクター”が再登場
過去作のオマージュもふんだんに盛り込まれた通算24作目

Staff
監督:サム・メンデス
製作:マイケル・G・ウィルソン、バーバラ・ブロッコリ
脚本:ジョン・ローガン、ニール・パーヴィス&ロバート・ウェイド、ジェズ・バターワース
原案:ジョン・ローガン、ニール・パーヴィス&ロバート・ウェイ
製作総指揮:カラム・マクドゥガル
撮影監督:ホイテ・ヴァン・ホイテマ
プロダクション・デザイン:デニス・ガスナー
編集:リー・スミス
衣裳デザイン:ジェイニー・ティーマイム
音楽:トーマス・ニューマン
共同製作:ダニエル・クレイグ、アンドリュー・ノアキス、デヴィッド・ポープ
主題歌:サム・スミス「ライティングス・オン・ザ・ウォール」(発売元:ユニバーサルミュージック)

Cast
ジェームズ・ボンド:ダニエル・クレイグ
マドレーヌ・スワン:レア・セドゥ
ルチア・スキアラ:モニカ・ベルッチ
オーベルハウザー:クリストフ・ヴァルツ
M:レイフ・ファインズ
Q:ベン・ウィショー
イヴ・マネーペニー:ナオミ・ハリス
ヒンクス:デイヴ・バウティスタ
デンビ:アンド

リュー・スコット
タナー:ロリー・キニア
Mr.ホワイト:イェスパー・クリステンセン
エストレラ:ステファニー・シグマン

2015年アメリカ・イギリス共同制作
スコープサイズ
本編上映時間:148分
字幕翻訳:戸田奈津子
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント