『私をスキーに連れてって』( 1987年)
| 挿入歌 | 松任谷由実 ♪「サーフ天国、スキー天国」 ♪「恋人がサンタクロース」 ♪「 A HAPPY NEW YEAR」 ♪「BLIZZARD」 |
“私スキ”を観てスキーを始めた若者たちは、リフトに乗りながらユーミンの曲を口ずさんでいた。
ホイチョイ・プロダクションズ製作による映画第1弾『私をスキーに連れてって』は、いわゆるバブル時代の若者たちを鮮明に描いたラブストーリーであるが、音楽もまたその世界観を効果的に演出していた。ご存じの通り、ユーミンこと松任谷由実の名曲が、劇中歌として数曲使われている。
’87年というとユーミンは、前年にアルバム『ALARM a la mode』、そして映画公開時期にはシングル「SWEET DREAMS」とアルバム『ダイアモンドダストが消えぬまに』を大ヒットさせ、不動の地位を築いていた頃。
しかし、映画本編では新曲はなく、少し前の楽曲がセレクトされているのが興味深い。スキーをテーマにした楽曲を選んだからだろうが、その分、当時でも少しノスタルジックな印象になったことも成功の要因だろう。
まず冒頭に流れるのは、「ゲレンデのカフェテラスで~♪」と歌われる「サーフ天国、スキー天国」。’80年発表のリゾートをテーマにしたアルバム『SURF&SNOW』を象徴する名曲だ。車に荷物を積み込んだり、スキーバスに乗り込むなど、主人公たちがスキー場へ向かうまでのワクワクするシーンにぴったりとはまっている。同じく『SURF&SNOW』からセレクトされた「恋人がサンタクロース」も、映画の演出に欠かせない一曲だ。厳密に言うとスキーの歌ではないが、クリスマス時期という設定もあって違和感は全くない。むしろ、ゲレンデにおける仲間同士の楽しさやスキーそのものの躍動感などを、見事に音楽と映像に当てはめている。
主人公を演じる原田知世と三上博史のすれ違いや、心のジレンマにフィットさせた楽曲が「A HAPPY NEW YEAR」。’81年発表のアルバム『昨晩お会いしましょう』のラストを飾るバラードで、新年を迎えるまでに早く会いたいという歌詞の内容も、ストーリーと絶妙にリンクしているのが印象的。そして、クライマックスの志賀高原から万座温泉までの雪山越えを盛り上げるのが「BLIZZARD」。こちらは’84年発表のアルバム『NO SIDE 』からの一曲で、ユーミンの中では比較的へヴィーなサウンドの派手なロック・ナンバーだ。いずれにせよ、この映画を観てスキーを始めた若者たちは、リフトに乗りながらこれらの曲を口ずさんでいたのは間違いないだろう。
余談ではあるが、後のホイチョイとユーミンの絡みとしては、2006年に初演されたYuming Song Musical『ガールフレンズ』がある。こちらは、二人の女性が主人公の恋愛ストーリーで、30数曲の楽曲が使用されているが、映画とのだぶりは一切無い。(文/栗本斉)
