Interview

YAJICO GIRL 昨年の主要コンテストを軒並み制した注目バンド そのサウンドの個性はどんなふうに生まれたのか!?

YAJICO GIRL 昨年の主要コンテストを軒並み制した注目バンド そのサウンドの個性はどんなふうに生まれたのか!?

大阪から登場したこの5人組は、昨年主要コンテストのグランプリをたて続けに獲得し、いきなり注目を集めた。9月6日にリリースされた、バンドにとって初めての全国流通盤『沈百景』は、5曲入りというコンパクトなサイズながら、その快挙が決してフロックではなく、音楽的な奥行きをしっかり備えたバンドであることを伝えている。
ここでは、メンバー全員にバンド結成から現在までの気持ちの流れをたどってもらいながら、この新作に込めた思いやバンドの未来像についてたっぷり語ってもらった。

取材・文 / 兼田達矢 撮影 / 鈴木圭

元々プロになってやるぜ!みたいな感じで組んだバンドではなかったので

まずは、結成のいきさつから聞かせてください。

吉見 高校の軽音部で結成したんですけど、お互いにどういう音楽が好きだとかどういう性格だとか知らずに、その場にいた人で組まされたんです。で、その最初に組んだバンドで3年間はやらないといけなかったんですよね。

「その場にいた人で」とは言っても、3人でやりたい人もいれば4人でやりたい人もいたりするんじゃないですか。

吉見 先に枠があるんです。僕らだったら「G、G、VO、DS、B」という編成の枠だったんですけど、他には「KEY、G、VO、DS、B」とか、そういう枠が決まってて、そのなかでどれにしようか?みたいな感じですね。

ということは、この5人はキーボードはいなくてもよくて、ギターが中心のバンドをやりたいなというイメージだったんですか。

吉見 ウ〜ン…、大きく“邦楽ロックが好き”くらいの感じだったと思うんですけど。

武志 ホントに、たまたまそこにいたから、くらいの感じだったんです。同期のなかにどういう人がいるかも全然わかってなかったし。

四方颯人(Vo)

ちなみに、今回のアルバムの1曲目のイントロでキーボードが鳴ってますよね(笑)。

四方 (笑)、いまやったら、キーボードがおったほうがいいかなと思いますよ。

榎本 でも、当時はとにかくギターのロックをやっていこうという感じやったんです。

コピーから始めたこのバンドがオリジナルをやるようになるのは、どういうタイミングだったんですか。

吉見 大学生になってからですね。

みなさん5人とも今は大学生なんですよね?

吉見 そうですね。

大学に行かないで音楽をやるんだ!みたいな人はいなかったんですか。

吉見 高校がほとんどみんな大学に行く学校で、それが当たり前というか…。

武志 それに、元々プロになってやるぜ!みたいな感じで組んだバンドではなかったので、進学して趣味で続けらればっていう。

四方 普通に、就職せなあかんからなあ(笑)。

(笑)、それにしても、5人とも浪人せずに進学できて、しかもこのバンドに戻ってきたということは、やっぱりこのバンドをやることに魅力を感じていたということなんでしょうね。

四方 どうなんやろなあ?

榎本 オレは、めっちゃやりたかったなあ。

吉見 単純に、“バンドおもろいなあ”という気持ちはあったし、高校の引退前の頃に“大学入っても続けるよなあ”という雰囲気があったような気が、オレはしたんやけど…。

四方 とりあえず、もうちょいやってみようかという雰囲気はあったと思います。

榎本 新しくメンバー組もうと思っても、オレら性格的に面倒臭いと思ってしまうし…。

吉見 それはあったね。

音楽的な好みもそれぞれ全然違うし、どこかに偏って止まるということはなさそうな感じがいいかなと思いますね

それで、大学生になってもこのメンバーでやることにしたときに、“もうコピーはいいだろう。オリジナルだ”ということになったわけですね。

四方 そうですね。

最初から、曲は四方さんが作る形だったんですか。

四方 そうです。

四方さん自身はいつ頃から曲を作り始めたんですか。

四方 中学のときですね。遊び程度ですけど。ギターでコピーするのはあまり好きじゃなくて、それよりも自分で作ってるほうが楽しかったんで。

このバンドのために書くということになって、何か変わりましたか。

四方 いや、遊びの延長みたいな感じですね。ただ、やっぱりこの編成でやれる曲にはせざるを得ないで、編成とかそういうことは意識して作るようになりました。

出来上がりは、自分がイメージした通りに仕上がりますか。

四方 曲によります。“ああ、オレの曲じゃなくなったなあ”というときもあるし(笑)、“オレのイメージを越えて、より良いものになったなあ”というときもあるし、“ブチ壊されたけど、これはこれでええか”という場合もあります。

自分が思い描いた通りには必ずしも出来上がらないというのが良くも悪くもバンドの意味だと思いますが、そのなかで“オレのイメージを越えて、より良いものになったなあ”ということがあるから四方さんとしては納得しているわけですね。

四方 いや、日々葛藤してます(笑)。

「いえろう」は僕がネタ切れになって、セッションで作ったんですよ。それが、なんかええ感じになって…

(笑)。実際、YAJICO GIRLの音楽にはいろいろな表情がありますが、みなさんのなかで“こういう感じは自分たちらしいな”と思ったり“この感じなら、このバンドをずっとやっていけそうだな”と感じた場面があれば、それぞれ聞かせてください。

武志 「いえろう」という曲があるんですけど、あれができたときは“我らながらいい曲ができたな”と思いましたね。自分たちはいいバンドなんじゃないかなっていう自信がついたような気がします。

古谷 むしろ、そういうのが定まってない感じがいいと思うし、この先もずっと落ち着かない感じで行けそうなが気がしてて…。音楽的な好みもそれぞれ全然違うし、どこかに偏って止まるということはなさそうな感じがいいかなと思いますね。

古谷 駿(Dr)

四方 YAJICOらしさというのはまだ模索段階だと思います。人から「こういう個性があるよね」と言われることは多々あるんですけど、僕らとしてはそういうことを意識していることはなくて。らしさとか個性とか、そういうものを定めるべきところと定めなくてもいいところがあると思ってて、音楽性については何か方向性を定めなくてもその都度やりたいことに挑戦したいなと思うし、逆にバンドの空気感なんかは定まっていったほうがいいなとは思いますね。

吉見 個性ということについてはいま言ってくれた通りだと思うんですけど、とりあえずこのバンドでやっていけるなと思ったのは「いえろう」という曲でいろんなオーディション関係で結果を残せたんですね。そのあたりで他人から評価されたという感触が持てたんで、やっていけるかなあって。

榎本 僕は、このバンドの個性とかあまりよくわからないんですけど、いまのメンバーはめっちゃ好きなんで…。

武志 どうしたんや(笑)。

榎本 (笑)、このメンバーでずっとやっていけたら、そこで出来上がる音楽は自分の納得できるものになると思ってます。

吉見 急にエモいやん(笑)。

(笑)、さっき武志さんが「プロになってやるぜ!みたいな感じで組んだバンドではないので」と言われましたが、そういうみなさんがオーディションにはどんな気持ちで応募したんですか。

吉見 オリジナルをやり始めた当時は自分たちの音楽を知らせる方法があまりよくわからなかったんですけど、オーディションというものを知って、とりあえずそれでもうちょっと知ってもらえたらいいなあ、っていう。

古谷 「曲ができたから、出してみよう。名前も知ってもらえるし…」みたいな感じですよ。

1年目の2015年はそれほど目覚ましい結果が得られなかったのが、2年目は様々なオーディションで次々とグランプリを獲得します。そこで披露した「いえろう」という曲はオーディションで勝ち抜ける曲を作ろうという意識で作った曲なんですか。

武志 そうでもないですねえ(笑)。

吉見 作ってみたら全員が満足できる曲ができたから、今年も応募してみようか、みたいな感じで。“十代白書2016”も応募は初めて作ったオリジナルの「スーパードライ」で、決勝のライブのときに「いえろう」ができてたんで、それをやったらグランプリをいただけたんです。

四方 「いえろう」は僕がネタ切れになって、セッションで作ったんですよ。それが、なんかええ感じになって…。

榎本 ニヤニヤしてたよなあ。

吉見 深夜のスタジオでできて、朝5時くらいにみんなで牛丼屋に行って、「なんか、ええ曲できたな」って盛り上がったんですよね。

吉見和起(Gt)

すごくポップな曲だと思いますが、オーディションを意識してそういう曲を作ろうとしていたわけではないですか。

四方 いや、あの曲に関しては、そういう気持ちの部分はあまり関係ないと思います。名前を知ってほしいとか、そういうことはある程度は思ってたけど、行動に表れるほどにはまだ思ってなかったですから(笑)。

では、吉見さんが言ってくれたように、いろんな大会でグランプリを獲ったりして認められたことでみんなの気持ちにギアが入ったという感じですか。

四方 そうですね。

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