バットマンの長い歴史の中でも謎に包まれていた、バットマン登場以前の時代。
それが本作で描かれる。舞台はバットマン誕生以前のゴッサム・シティ。
青年期のジェームズ・ゴードンを主人公に、悪と不正のはびこる犯罪都市ゴッサムの真の姿に迫る。
直接的にバットマンは登場しないものの「なぜ彼は誕生したのか?」、「バットマンとゴードン市警本部長のあの絆はどこで生まれたのか?」など、気になるバットマン登場前夜の物語がついに明かされる。
今回は、ドラマ「GOTHAM」出演メンバーのインタビューをお届けします。
ベン・マッケンジー
ジェームズ(ジム)・ゴードン
『GOTHAM/ゴッサム』の『バットマン』の過去を描くというコンセプトをどう思いましたか?
(製作総指揮で脚本も担当した)ブルーノ・ヘラーが話してくれたとき、とにかくエキサイティングなプロジェクトだと思いました。なぜ、誰かもっと早く思いつかなかったのかというぐらい、シンプルだけど、すごいアイディアだと感じました。
『バットマン』というシリーズ自体には、どういう思い入れがありますか?
アメリカは歴史が浅い国で、残念ながら日本と違って神話がありません。そのアメリカにとって、『バットマン』は、ある意味、おとぎ話のようなものだと思うんです。両親を殺されるという不正義を経験した少年が成長して正義を貫こうとするところが、僕も好きですし、ここには普遍的なテーマがあると思います。それにスーパーパワーを持っていない、普通の人間のバットマンが活躍するということころも魅力だと思いますね。
マッケンジーさんが演じたジェームズ・ゴードンはこれまでいろんな俳優が演じたキャラクターですよね。
役作りのため、DCコミック代表のジェフ・ジョンソンに頼んで、コミックをたくさん送ってもらいましたし、彼に多くの質問もしました。ジェフは「『GOTHAM/ゴッサム』のころのゴードンについて、コミックではあまり描かれていない。だから、君はしたいようにしていい」と言ってくれました。僕にとって最高のアドバイスでしたね。他の人のモネマネをする必要がないとわかったのです。そもそも僕はゲイリー・オールドマンやパット・ヒングルのモノマネをすることができませんからね(笑)。
ブルーノ・ヘラーはあなたを念頭において今回のゴードンの人物像を作ったそうですね。
脚本を読んでいて、時々、それに気づきました。ブルーノは僕の中の何かを見て、自分のしたいことにつなげたのだと思います。僕はテキサスで、伝統的な価値観の中で育てられ、牧歌的な生活を送っていました。ブルーノはそんなところに何かを見出して、ゴードンを作り上げるのに活かしたのかもしれませんね。
ショーン・パートウィー
アルフレッド・ペニーワース
『バットマン』の過去を描くという、本作のコンセプトを聞いたとき、どう思いましたか?
おそらく、最初にこのコンセプトがファンの皆さんの耳に入ったときに期待した方も多かったと思いますが、「いい作品になるのかな?」と不安を感じた方も多かったんじゃないでしょうか。でも、私は最初からすばらしいアイディアだと思いました。キャラクターの心の動きを追っていくという、(製作総指揮の)ブルーノ・ヘラーが選んだアプローチも魅力的でしたからね。
『バットマン』という作品全体の魅力はどういうところにあると思いますか?
不公平なこの世の中で誰かが立ち上がって正義の声をあげてほしいという思いを多くの人が持っていると思います。その理想を具現化しているのが『バットマン』というシリーズなんじゃないでしょうか。ちなみにアダム・ウェストが主演だった60年代のテレビシリーズは、今だとちょっと奇妙で陳腐だって笑われたりするけれど、私はあれをリアルタイムで体験していてクールだと思ってましたよ。
本作のアルフレッドとブルース・ウェインの関係をどのようなものだと思いますか? 執事と主人というだけでなく、父と息子のようでもありますが。
敬意をもって言いますが、機能不全な関係性ですね。でも、成長していく若者との関係は、おおむね奇妙なものなんですよ。若かったころの私と父との関係も変でした。
ジェームズ・ゴードンとアルフレッドの間では、ブルースの父親的ポジションを巡っての戦いがあるのでしょうか?
いえ。アルフレッドもジェームズもどちらも高潔な男です。アルフレッドは誰も信頼していませんでしたが、彼はジェームズを信頼し始めているんですよ。
アルフレッドには過去に軍隊に在籍していたという設定もありますね。
ブルーノ・ヘラーと(DCコミックスの)ジェフ・ジョーンズとこの経歴を考えました。アルフレッドはイギリス海兵隊にいたんです。そうした過去があるので、ブルースの両親の死について自分を責めてもいるし、武士道のようにブルースを守るという誓いも立てているのです。
ロビン・ロード・テイラー
オズワルド・“ペンギン”・コブルポット
テイラーさんの演じたペンギンは、これまで登場したペンギンの中でも強烈な印象を残していると思います。
一俳優として言わせてもらうと、これまで名だたる名優が演じてきたキャラクターを演じる機会を得られて、なおかつアプローチも変えることができるので、こんなにぜいたくな話はないと思いました。今回の『GOTHAM/ゴッサム』では、キャラクターにより共感できる、心理的にも掘り下げた形での描写になっていますし、とにかくスタッフもキャストもすぐれた才能がそろってるので、すばらしいクオリティになってるんじゃないかと思います。
過去作に登場したペンギンに影響を受けましたか?
もちろんです。これまでペンギンを演じたダニー・デヴィートもバーゲス・メレンディスも信じられないほどすばらしい俳優です。でも、僕は自分のバージョンのキャラクターを作りたかったので、彼らの演技を直接参考にしたくはありませんでした。ふたりが作ってきたペンギンが純粋に楽しいものなので、そういった要素を自分のキャラクターに取り入れたんです。
もともと『バットマン』はお好きでしたか?
60年代のアダム・ウェストが主演のテレビシリーズも子供のころに見ていました。それからマイケル・キートン主演の映画(1989年の『バットマン』)には感激しました。僕の故郷はアイオワ州の田舎なんですけど、『バットマン』を見に行ったら、映画館の外に長い列ができていたんです。そんな光景を見るのは初めてで、映画の力をまざまざと見せつけられましたね。
その子供時代に演じてみたかったキャラクターは誰ですか?
ジョーカーでしたね。でも、もちろん今はペンギンが一番です(笑)。(製作総指揮の)ブルーノ・ヘラーの作った世界は、ペンギンのキャラクターをとても輝かせていますから、うれしく思ってます。
役作りはどのように行いましたか?
まず、ペンギンの出自に関する話をコミックで読みました。彼は外見や自分が持つ興味のせいで同級生たちからイジメられてたんです。僕はそこからペンギンに感情移入することができました。コミックで彼がどういうふうに形成されていったのかを知り、ペンギンを3次元の人間にしていくことに挑戦しました。ペンギンをマンガっぽくしないということは僕にとっての挑戦なんですけど、そこまで難しいことでもありませんでした。だって、脚本が完璧でしたからね。
本作でのペンギンは非常に人気が高いキャラクターとなっています。そのことにプレッシャーは感じますか?
もちろんです。僕はただ俳優になりたかっただけで、まさかこんな大きな作品の一部をになうなんて夢にも思ってませんでしたから。『バットマン』という75年も続いた作品の影響力の大きさには圧倒されてしまいます。でも、『GOTHAM/ゴッサム』に対しては、見た人々からとても肯定的な反応があるので、恐縮しています。僕は人が自分についてよいことを言っていても信じるタイプではないので、肯定的な反応を受け入れるのも大変なんですけど。
『バットマン』はゲーム化もされていますが、プレイしたことはありますか?
僕はゲームが好きなんで、いろいろとプレイしますよ。例えば『アサシン クリード』なんかに夢中になりましたね。『バットマン アーカム・アサイラム』もプレイしました。とってもファンタスティックなゲームでした。ただ、最近忙しくてあんまりゲームで遊べないんですよ。ニューヨークに帰ったら、またやってみようと思います。
テイラーさんは今回が初来日とのことですが、日本の印象を教えていただけますか。
日本はいろんなメディアで多種多様な描かれ方をしているので、それを実際に自分の目で見てみて「ここは違ってたな」「ここは本当だった」という発見ができて、とても面白かったです。それから、日本人は親切だってよく言われていますが、実際に訪れてみると本当にみんな親切で情熱的で、ここまでだとは正直思ってなかったので、そこにも驚きました。とにかく、すばらしい国ですね。
コリー・マイケル・スミス
エドワード・ニグマ
『バットマン』の過去を描くというコンセプトについて、どう思いましたか?
すばらしいアプローチだと思いました。そんな企画に参加させてもらえて、とても光栄でうれしく思っています。それと同時に、75年も続いている『バットマン』のバットマンがバットマンになるまでを描くということで、とても大胆な企画でもあるし、役者として責任も重大だと思いました。ともあれ、DCコミックの世界をこういう形で語っていけるのは、すばらしいことだと思います。
スミスさんが初めて見た『バットマン』は何ですか?
初めて見たのはティム・バートン監督の映画『バットマン』(1989年の作品)でした。自宅に20本ぐらいあったVHSの中で、ふたつ年上の兄と一緒に何回も何回も繰り返して見ているものが5~6本ぐらいあったんですが、ティム・バートンの『バットマン』はそのうちの1本でした。夢中になりましたし、子供でしたから怖さも感じました。ジャック・ニコルソンの演じたジョーカーもすばらしかったですね。ティム・バートンの世界はファンタジックでありながら非常に人間っぽいところがあって、『GOTHAM/ゴッサム』でそっくりそのまま真似ようというわけではありませんが、そういう部分では共通点があるかなと思っています。
今回の役作りはどのように行いましたか?
学生時代の友人がベースになってるんですよ。彼は僕と同い年で同じ高校に通っていました。成績はとても優秀だったんですが、人とコミュニケーションをとる方法を知りませんでした。質問に答えるときも、人をイライラさせたり、不器用な感じでした。でも、彼は誰かが間違っても責めなかったし、誰かの知識不足の中にもユーモアを見出してました。彼は自分の風変わりなところに気づいてないようで、僕はそれがエドワード・ニグマに合っていると思ったんです。
エドワード・ニグマ、つまりリドラーを演じると決まって、友人から「緑のコスチュームを着るの?」と聞かれませんでしたか?
友人からは聞かれませんでしたが、ネット上の人たちは好奇心旺盛ですから質問されましたね。衣装に関しては、コスチュームデザイナーのリサ・パドヴァーニが本当にすばらしいんです。おかげで僕のクローゼットもどんどん大きくなってます。
現実のあなたもリドラーみたいにナゾナゾを出したりするんですか?
個人的にですか? いえ、特には(笑)。ダジャレは楽しみますよ。でも、パズルや、数を使ったパズルはやりませんね。
パズルだと数独はどうですか?
数独はできますよ(笑)。他には何から始めたらいいですか? 新聞に載ってるパズルやゲームから始めようかな(笑)。
『バットマン』はメディアミックス展開の中でゲーム化もされていますが、プレイしたことはありますか?
『GOTHAM/ゴッサム』に参加するということで、ファンから勧められて『アーカム』シリーズをプレイしたことはあります。ただ、子供のころには兄とゲームをやってはいたんですけど、僕はあまりゲーマーではないんですよ。小さいころもゲームをやるかわりにピアノを弾いていました。指を動かすのは好きだから、もしゲームをやりだしたらハマっちゃいそうだなとは思っています。
今回が初来日とのことですが、日本の印象はいかがですか?
日本の皆さんは礼儀正しくて優しいし、熱心ですね。上っ面の熱心さではなく、心のこもった情熱で迎え入れてくれていると感じました。そして、歴史が豊かですね。アメリカは歴史が浅い国なので、アメリカにいるときには感じないことなのですが、日本の街中を歩いているときも綿々とつながってきた歴史が目の前にあって、そういう環境に住んでいる皆さんが僕はうらやましいですね。