キュウソネコカミは、いつも言いたい放題。ギクッとするような歌詞を連発してきたが、今回のシングル「NO MORE 劣化実写化」は格別に鋭い。原作漫画を実写化した映画が全盛の今、“原作読んでんの?”と突っ込んで、“せめて監督は 原作漫画のファンであれ”と悲痛に叫ぶ。みんなが“大人の事情”だから仕方ないと思ってあきらめてしまうことに、キュウソはネズミの牙をむく。
あまりの鋭さのせいか、カップリングの「イキがいいのだ」(明治「XYLISH(キシリッシュ)」発売20周年記念『イキがいいのだ』キャンペーン公式ソング)と「家」(タマホーム「20代の家」CMソング)にはタイアップが付いているのに、タイトル曲の「NO MORE 劣化実写化」はタイアップなし。これもまた潔くて、キュウソらしい。バンドシーンが西高東低なのは、キュウソみたいに本音でやってるバンドが西日本に多いからなのか。
「NO MORE 劣化実写化」に関するアレコレを、メンバー5人に聞いてみたら、みんな本音で話してくれて、あー、面白かった。やっぱりキュウソネコカミは、弱い者の味方だぜ!
取材・文 / 平山雄一 撮影 / 冨田望
自分がいちばん好きな漫画が実写化。「おい、ちょい、待て、待て。絶対できへんやろ!」と
今回のシングル「NO MORE 劣化実写化」を、このタイミングでどうしても出したかった理由を聞きたいんですけど。もしかしたらこれから、(ヤマサキ)セイヤさんが裏切られそうな漫画原作の実写映画が公開されるということなんですか?
ヤマサキ セイヤ それはもちろんありますよ(笑)。僕、あんまり漫画を読んでるわけではなくて、今回この曲を作ろうってなったのは、自分がいちばん好きな漫画が実写化されるという情報が入ってきたときに、「おい、ちょい、待て、待て。絶対できへんやろ!」と。いわゆるよくあるファン心理みたいな状態になってしまって。そのときに、小さいときに観てた実写化も「そういえば、おかしかったぞ」と思い出して。で、改めてリサーチを始めましたって感じだったんです。しかも、早く書かないと、と思って。
少なくとも夏前には、と(笑)。
ヤマサキ そう。映画が成功するか、失敗するかはまだわからないんですよ。だから、先に曲を出しておいて、あとで「ほうら、キュウソの言っていたとおりだ」と(笑)。でも、成功されたら、それはそれでこっちは困るよね(苦笑)。
ヨコタ シンノスケ いろいろあるから、さすがに全部が全部、成功はしないやろ?(笑)
ヤマサキ 1個か2個、スベってくれたらありがたいんやけど(笑)。
一同 ありがたい、って(笑)。
「NO MORE 劣化実写化」は、グループ魂との対バン(4月19日@Zepp DiverCity)のときに「新曲出来ました」って初めて聴きましたけど、あの直前に作ったんですか?
ヤマサキ いや、結構前に作りましたね。
ヨコタ だから「はよう出さな」と思ってました。じゃないと、映画が公開されてまう、と。
カワクボ タクロウ そうそう、先にじゃんけん出さんとね(笑)。
ヨコタ こういうテイストの歌を歌う人たちはほかにもいるから、先に歌われて、後追いになってももったいないなと思ったので。
ヤマサキ とにかく早くしないと(笑)。
ヨコタ 鮮度が落ちるって(笑)。
セイヤさんがこの曲を持ってきたとき、メンバーの最初の印象はどうだったんですか?
オカザワ カズマ 「これはみんな思ってることなんちゃう?」「俺もそうやな」って思いましたね。
カワクボ セイヤは、自分のことではないけど「こういう人いるな」って曲が多いんです。だけど、この曲は自分のことを歌ってるなっていうか、誰しもに当てはまるなと。
タクロウさんにも当てはまる?
カワクボ そう。だから、これはいけると(笑)。
ヨコタ これは売れると!(笑)
ここ数年、漫画実写化映画が増えてきたと思うんですけど。
ヨコタ これからも増え続けていきますよね。だってどんなに失敗作があっても、毎回、公開される映画の中に一本は必ず漫画実写化って入ってるもんね。
これまで、自分が裏切られたなと思ったのは、どういう部分だったんですか?
ヤマサキ まず、キャラクターの性格が原作と違ったり。漫画で、例えばパンチがあるとするじゃないですか? パンチが行くぞ、で、次の瞬間にはパンチが当たって炸裂してるわけですよ。実写化は、その間のコマ絵がない部分の描かれ方がダサい。脳で補完していた部分までも映像になっているから、そこの表現が、激しい技になればなるほどダサくなるんですよ。どんなファンタジー系でも、人間ができないような大技を出すときに、表現が追いついてないなと思ってて。だいたいの実写で感じることですよね。けど、やり過ぎはね、ちょっと面白いんですよ。スポーツ漫画で技の掛け合いだらけの漫画があるんですけど、その実写化では、ありったけCGを使って表現してて、それはそれで実写漫画みたいな感じで。
面白かった?
ヤマサキ 面白かったんですよ。そこまでやってくれたら、もう、ギャグですよね。スポーツものやったら、やり過ぎてても成り立つのかな? 打った球の残像に火が出てたりとか、ラケット突き抜けたりとか。
カワクボ 『少林サッカー』みたいな感じやな。
ヤマサキ あー、『少林サッカー』面白かった!
カワクボ 原作も半分ギャグとして楽しんでるし、映画制作サイドも楽しんでるし、ってところで、愛が見えたんだろうね。
ヤマサキ そうやね。原作もちょっとギャグやからOKなんか。
カワクボ そう、派手さがギャグやん。
ヤマサキ シリアスなヤツが失敗しとるのかな。原作漫画が本気なのに、実写化された途端、ギャグみたいに見えたら、「あれ?」ってなるから。でも、海外は結構頑張ってるよね?
オカザワ 『ハリー・ポッター』とか?
ヤマサキ それはまた違うんよ。文字だけのヤツ(小説)を映像にするのと、漫画、絵のあるヤツを映像にするのとでは、難しさが違うのよ。
漫画=絵にしたものを、なぜ映像=立体にするのかな?
ヨコタ やっぱり稼げるからじゃないですか?(笑)
ヤマサキ もともとは純粋に映像で観てみたいってだけやったと思うんですよ。けど、その映像化する情熱があったはずなのに、今は稼げるからやろうぜみたいな気持ちも少なからずあるんやないかと。だって、本来は観るほうも嬉しかったはずなんですよ、漫画の中の人が動くって「どうなん?」って楽しみやったはずなのに。
カワクボ そうやんな、クロスオーバーしてな。
ヤマサキ あと、原作を読んでなくて観て、面白くないというパターンもある(笑)。それはマジで面白くない! その場合、実写を観終わって原作を読むと、原作はめちゃくちゃ面白いの。
しかし、それに対する文句を歌にするかなぁ(笑)。
ヨコタ しかも、シングルで(笑)。
ヤマサキ 悪いことは言ってないですよ(笑)。映画もやけど、実写化連続ドラマで失敗してるパターンも多いよね? 予算的にもしょうがないんでしょうけど。
ヨコタ (尺が映画より)長いぶん、表現できそうやけどな。海外の人が解釈した日本の漫画とかになると、それはそれでこういうものかって納得するところもあるやん? でも、日本の漫画で日本人の監督が、「原作を本当にちゃんと知ってるの?」って感じに仕上げるのがあかんというか。この曲で言いたいのはそこですよね。
ヤマサキ この曲を作るときにたくさん記者会見も観たんですけど、本当にダメな作品ってね、取材での俳優さんたちも「この映画の話をするのはしんどいな」っていう表情が出てて、おもろいんですよ(笑)。
ソゴウ そこまで見ぃへんわ(笑)。
ヨコタ まあ、誰が得やねんっていうチームでできてたりするんだろうなっていうのは、なんとなくはわかる。